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議事録

2022年6月定例会 討論

【太田】市民派改革ネットを代表して、今定例会に提出されている議案及び陳情に対する討論を行います。

 議案第54号令和4年度高松市一般会計補正予算(第3号)中、純愛の聖地庵治・観光交流館管理運営費365万9,000円及び債務負担行為1,951万6,000円、議案第70号公の施設の指定管理者の指定について、議員提出議案第5号国民の祝日「海の日」の7月20日への固定化を求める意見書、議員提出議案第6号地方公共団体情報システムの標準化に向けての意見書、以上について反対討論を、陳情第4号国立病院の機能強化を求める陳情、陳情第6号75歳以上医療費窓口負担2割導入の中止を求める意見書提出の陳情、議員提出議案第7号食料品等物価高騰から国民生活を守るための財政支援を求める意見書、議員提出議案第8号不妊治療の保険適用外となる治療等に対して自己負担軽減のための助成制度を求める意見書、以上について賛成討論を行います。

 まず、議案第54号令和4年度高松市一般会計補正予算(第3号)中、純愛の聖地庵治・観光交流館管理運営費365万9,000円及び債務負担行為1,951万6,000円並びに議案第70号公の施設の指定管理者の指定についてです。

 指定管理者候補者である、よんてつ不動産株式会社が提出した実施計画書では、パート1名がカフェの運営をはじめ、全ての業務を1人で行うとし、その人件費は諸経費含む時給1,375円となっています。諸経費とは、各種保険料・交通費・制服代とのことですが、通常、時給に保険料は盛り込みません。ところが、5月26日から募集しているインターネットの求人サイトでは、時給880円となっており、人件費が不透明であることから、指定管理者候補者に説明を求めるべきであると議案質疑で問いましたが、市は説明を求めないとのことです。説明責任を果たさない姿勢だけではなく、何のために指定管理者の指定が議決事項なのか、全く理解されていないことが残念でなりません。

 経済環境常任委員会における審査では、当局は諸経費の詳細が問われても明らかにせず、差額の約500円について再度問われても、500円くらい必要だとの見込みという曖昧な答弁でした。これは、指定管理料とも大きく関係するので、非常に重要なことですし、もし差額分をピンはねしようとしていたら大問題です。これらについて、不透明な部分を明らかにすべきであることから、関連する補正予算及び指定管理者の指定については反対です。

 さらに、このような観光施設は指定管理者制度で手間と税金をかけるより、民間へ移譲するほうが市としても有効なのではないでしょうか。

 また、私たちの会派は、さきの3月定例会で選定委員会において厳正な審査が行われたとしながらも、審査の過程が分かる記録の類いが全く存在しないことは問題であることを指摘し、再度、選定過程の透明性を求めましたが、改善をされていません。このことは、令和3年度の包括外部監査でも同様の指摘がされていることを申し添えておきます。

 次に、議員提出議案第5号国民の祝日「海の日」の7月20日への固定化を求める意見書についてです。

 今年3月、超党派の国会議員約350名と海事関係団体とで構成する海事振興連盟が各地方議会に宛てて、国民の祝日、海の日を7月20日に固定化する意見書を提出していただきたい件とした要望書を提出。これを受けて意見書を提出しようとするものです。

 海の日の再固定化については、複数の観光関連団体が海の日などの祝日の一部を月曜日に移し、土曜日・日曜日と併せて3連休化するハッピーマンデー制度の維持を強く要望してきたという経緯があります。

 海事振興連盟からの要望書には、海の日を7月20日に固定化することにより、国民の一人一人が海を巡る様々な状況に思いをはせ、海の恩恵に感謝するとともに、海洋国日本の繁栄を願うという海の日の趣旨に思いを致す機運を盛り上げることが極めて重要と書かれていますが、海の日を固定化することで国民の機運が盛り上がるとは到底考えられません。

 日頃から海に囲まれて暮らす私たち高松市民だからこそ、常日頃から海からの恩恵を感じ、海の環境を守り、次世代にきれいな海を残していくことが求められます。祝日のイベントだけで終わらせるのではなく、継続して海を守ることを考え、また、観光振興の観点からも、今回の固定化には賛同できません。

 次に、議員提出議案第6号地方公共団体情報システムの標準化に向けての意見書についてです。

 2021年5月12日に、デジタル庁の創設などを盛り込んだ、いわゆるデジタル改革関連6法が成立。それに含まれた地方自治体情報システム標準化法は、全国の1,741市区町村ごとにばらばらで開発、運用してきたシステムのうち、基幹システム17業務と戸籍など、3業務を合わせた20業務について、政府が標準仕様を策定し、自治体は2025年度末までに標準準拠システムへの移行を完了するというものです。

 そもそも自治体情報システムの標準化等に関しては、特に地方公共団体の業務の自由度を低下させ、地方自治を制約することになるのではないかという懸念が指摘されています。さらに、自治体の情報を管理しておくクラウド環境を国が用意し、それを各自治体が使うことで、国と自治体の情報連携が進み、セキュリティーも高まると政府は主張していますが、その詳細は明らかにされておらず、どのような形で情報連携が行われるのか不透明です。

 まずは、2025年度末の導入を急ぐのではなく、情報連携や個人情報の保護など、多くの懸念事項について情報公開をし、説明責任を果たすべきであることから、意見書の提出は必要ないと考えます。

 次に、陳情第4号国立病院の機能強化を求める陳情についてです。

 国立病院とは、厚生労働省直轄の独立行政法人 国立病院機構が運営する全国141医療施設のことを指します。医療の提供・調査研究、医療に関する技術者への研修を業務としており、特に5疾病・5事業への取組に力を入れています。

 現在、国立病院機構に対して国からの補助金はなく、独立採算で運営をしています。地域医療を切り捨てる国立病院の廃止や統合は、国の責任を放棄するものであり、断じて許されるものではありません。コロナ禍においても重要な役割を果たしてきた国立病院は、国の責任において、その機能を強化し、財源を確保する必要があると考え、本陳情は採択すべきと考えます。

 次に、陳情第6号75歳以上医療費窓口負担2割導入の中止を求める意見書提出の陳情です。

 厚生労働省の試算によると、2割負担となる対象者は約370万人とされていますが、高齢者は複数の病気を抱え、長期間にわたって幾つかの医療機関を受診していることが多く、1人当たり年間数万円の窓口負担増になるとも見込まれています。

 一方で、政府は、今回の見直しが現役世代の支払う保険料の負担上昇を抑える目的があると説明をしています。これに対し、医療経済・政策学が専門で、昨年、衆議院厚生労働委員会に参考人として出席した二木 立日本福祉大学名誉教授は、改正で削減される保険の給付費の中で一番多いのは税金からの支出。一方、現役世代の保険料で賄う支援金は1人当たり約700円の抑制となる。ただし、保険料は基本的に労使折半なので、事業主の負担を取り除くと本人分は年約350円弱。1か月当たり30円ほどにすぎない。これは平均なので、給料が比較的安い若い世代だと効果はさらに少ないはず。今回の法改正でも、毎年の保険料軽減は僅かなので、今の現役世代にとっても、生涯を通じた負担が結果的に増える可能性が大きいと思うと、効果は限定的だと問題視しています。

 窓口負担引上げで、受診を控えて健康を害する人が出ないかといった懸念も払拭されていないことから、本陳情は採択すべきと考えます。

 次に、議員提出議案第7号食料品等物価高騰から国民生活を守るための財政支援を求める意見書についてです。

 資源高で電気代やガソリン価格など、エネルギー関連費が大きく上昇しています。また、原材料高で食料品も上がったことは、私たちの日々の生活の中でも実感を伴っているところです。例えば、生鮮食品は4月には昨年同月比12.2%も上がっており、中でもタマネギ98.2%やキャベツ49%などの高騰が際立っています。ノルウェー産のサケも13%上がっていますが、ウクライナ情勢悪化によって、ロシアを迂回して運ぶコストがかさんだためです。食料品とエネルギーという、まさに生活必需品が上がっているので、低所得層や高齢者層の打撃が大きく、ますます貧困化が進む要因となっています。

 ガソリン価格高騰を抑える補助金については、消費者ではなく元売に補助金を出す仕組みになるため、ガソリンの小売価格がそのまま下がるとは限らないと言われています。国が責任を持って国民の生活を守らなければいけません。

 よって、物価高騰から国民生活を守るための財政出動は必要と考えることから、本意見書には賛成します。

 次に、議員提出議案第8号不妊治療の保険適用外となる治療等に対して自己負担軽減のための助成制度を求める意見書についてです。

 教育民生常任委員会では、本意見書の審査に先立って、関連の不妊治療支援事業費3,470万円を全会一致で可決しました。本市独自の助成制度創設に至った経緯は、保険適用されて以降、不妊治療に臨む市民の方から、今後、治療を継続することが経済的に難しくなる等の切実な声が寄せられたからです。

 このような市民の声に議会としても応えていく必要があると思いますが、意見書提出に反対の議員からは、不妊治療を個別に助成するものではなく、これまでの助成制度がなくなるということで、負担増となるケースが発生することはあると思うが、保険適用が始まったばかりなので、意見書の提出は必要ないといった意見が出されました。補正予算に賛成しておきながら、このような意見には大きな矛盾を感じます。

 議案質疑において、市長から、従前は助成の対象となっていた治療についても全額自己負担になるなど、治療の内容によっては自己負担が増加する場合があることは全国的に共通する課題であることから、不妊治療の経済的負担の軽減について、全国市長会等を通じて要望していきたいとの答弁もありました。

 二元代表制の一翼を担う議会としても、出産を希望する世帯を広く支援し、時期を逃すことなく治療が受けられるように、市民の切実な声を国に届けるべきと考え、意見書提出に賛成します。

 最後に、討論とは、議員として住民に対し議案や事件に対する自らの考え方を表明するとともに、議案や事件の持つ課題等を住民に十分説明し、議会の選択の正当性を理解してもらうことです。残念ながら、現在の高松市議会では、討論が活発に行われているとは言い難い状況です。今後、高松市議会のさらなる透明化に向けて、積極的な議論・討論を期待し、私の討論とさせていただきます。

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