2019年12月定例会 一般質問
【太田】
大項目1は、気候変動について伺います。
高松地方気象台が観測を始めた1941年から2019年の全気象データを見ると、高松市における年平均気温の高い年、1年のうち1日の最高気温が高い日、夏日や真夏日が多い年、いずれをとってもトップテンの8割から9割が2000年以降でした。また、消防局による熱中症の救急搬送患者数は、2011年の168人から徐々にふえ、2018年には360人となっています。一昔前とは、暑さのレベルが違うという高松市の実態は、気候変動への対策が緊急の課題であることを示しています。
スペインのマドリードで2日、国連気候変動枠組条約第25回締約国会議──COP25が開幕し、国連のグテレス事務総長は、経済大国による二酸化炭素削減の努力は全く不十分だと、温暖化対策の重要性を訴えました。私たちは、まず、自分の足元から気候変動を考え、行動していくことが求められています。
さて、昨年12月、気候変動適応法が施行されました。気温の上昇や熱中症リスクの増加のほかにも、大雨災害の増加、農作物の品質低下、動植物の分布域の変化など、気候変動の影響は、今後、さらに長期にわたり拡大するおそれがあります。これまで日本も、温室効果ガスの削減などの緩和策を実施してきましたが、今や気候変動に対して、温暖化の悪影響を最小限に減らす適応も必要な段階に来ています。
そこで、適応策を法的に位置づけ、関係者が一丸となって適応策を強力に推進していくこととなり、都道府県や市町村に地域気候変動適応計画の策定の努力義務が課せられました。市町村にも、適応のための情報収集や提供等を行う体制の確保が求められています。県は10月に、香川県気候変動適応センターを設置しました。 そこで、以下お伺いします。 気候変動適応法に基づく地域気候変動適応計画の策定の考えと、その中にどのような対策を盛り込むのか、お答えください。 また、香川県気候変動適応センターと、本市はどのように連携をとっていくのか、お答えください。
さて、ことし、壱岐市・鎌倉市・白馬村・長野県で気候非常事態宣言が宣言されました。壱岐市長は、地方自治体など、あらゆる機関に気候非常事態の認識を共有し、地球温暖化防止対策に向けて連携してほしいと呼びかけています。この気候非常事態宣言は、国内ではまだ4自治体のみですが、世界では1,000以上の地方自治体や国が同様の宣言をしています。そして、宣言した自治体は、包括的な行動計画を立案・実施しています。 そこで、本市においても、気候非常事態宣言を行う考えについてお聞かせください。
最後に、本市では、高松市地球温暖化対策実行計画において、温室効果ガスの削減目標を、2030年度に2013年度比で30%減の水準にすることを目標としていますが、今後の計画改定の中で、さらに水準を引き上げていくことは考えられますか。自治体としても、さらに積極的な温室効果ガス削減が求められると思います。
【環境局長】
37番太田議員の一般質問にお答え申し上げます。
気候変動のうち、気候変動適応法に基づく地域気候変動適応計画の策定の考えについてでございますが、本市では、高松市地球温暖化対策実行計画に基づき、再生可能エネルギーの利用促進や省エネ化の促進など、温室効果ガスの排出削減を図る、いわゆる緩和策を中心に温暖化対策に取り組んできたところでございます。 このような中、近年、台風や集中豪雨による災害が頻発しており、本市におきましても、気候変動の影響による被害の回避や軽減を図るため、本市の実情に応じた適応策を講じていくことが必要になっているものと存じます。
このようなことから、本市地球温暖化対策実行計画の見直しに合わせ、同計画に適応策を盛り込むとともに、気候変動適応計画として位置づけることを検討してまいりたいと存じます。 また、その中にどのような対策を盛り込むのかについてでございますが、適応策は、防災など既に進めている対策もございますが、農林水産業、水環境・水資源、健康など、多方面にわたりますことから、具体的な対策につきましては、国や来年度策定が予定されている香川県の計画も参考にしながら、関係各課で連携し、検討してまいりたいと存じます。
次に、香川県気候変動適応センターと、どのように連携をとっていくのかでございますが、県のセンターは、地域の気候変動の影響及び気候変動への適応に関する情報の収集や整理・提供等を行う拠点として設立されたものでございます。本市の温暖化対策を進める上で必要な情報を共有するとともに、市民・事業者への情報提供にも生かせるよう、連携を図ってまいりたいと存じます。
【市長】
気候非常事態宣言を行う考えについてであります。
御質問にもありましたように、現在、マドリードにおいてCOP25が開催されており、地球環境への危機感が深まる中、世界の脱炭素化に向けて早急な対策が必要であると議論がされているところでございます。 御質問の、気候非常事態宣言は、国や地方自治体、大学が気候変動への危機について宣言を行うことで、気候変動対策の立案・計画などの対応を優先的にとる姿勢を内外に示すものと存じておりまして、国内では、御質問にもありましたように、4自治体において、首長や議会による宣言が行われているところでございます。 本市におきましては、今後、地球温暖化対策実行計画に温室効果ガスの排出削減を図る緩和策に加え、気候変動による甚大な影響への認識や、それとともに具体的な適応策を盛り込むなど、温暖化対策のさらなる取り組みを進めてまいりたいと存じておりまして、気候非常事態宣言につきましては、この計画見直しの際の検討課題としてまいりたいと存じます。
【環境局長】
高松市地球温暖化対策実行計画において、温室効果ガスの削減目標について今後の計画改定の中で、さらに、水準を引き上げていくのかでございますが、現行計画は、温室効果ガス排出量を2030年度に2013年度比で30%減の水準にすることを目標としており、国の26%より高い目標を掲げているところでございます。 削減目標につきましては、現行計画を見直してまいります中で、その達成状況や今後の達成見込み、国や他都市の動向等も踏まえ、長期的な目標を掲げることも含め、検討をしてまいりたいと存じます。 項目1の答弁は、以上でございます。
【太田】
(3)について再質問をします。
本文中でも申しましたが、白馬村という所も宣言をしております。白馬村では、高校生が住民の署名をとって村長に宣言をするように申し入れをしています。 先月の11月29日に、グローバル気候マーチがありまして、私もストップ気候変動ということを訴えてスタンディングをしましたが、そのときに、高校生など若い人たちがその宣言について、すごく声をかけてくれました。例えば、夏でも野球ができる環境を残したいとか、自分たちの子供の世代にまで気候変動の問題を先送りしたくないと言っていました。そんな彼らの声や思いに応えられていないことが非常に恥ずかしく、また、申しわけなく思います。 データが示しているように、気候変動は本市においても待ったなしの状況と考えられます。本市においても、計画改定を待たず、なるべく早期に気候非常事態宣言を行う考えについて、再度お伺いします。
【市長】
37番太田議員の再質問にお答え申し上げます。 気候変動のうち、気候非常事態宣言を行う考えについてであります。 本市におきましては、今後、速やかに、地球温暖化対策実行計画に温室効果ガスの排出削減を図る緩和策に加え、気候変動による甚大な影響への認識や、具体的な適応策を盛り込むなどの見直しを考えており、気候非常事態宣言につきましては、この計画見直しの際の検討課題としてまいりたいと存じます。
【太田】
大項目2は、要支援者の避難についてです。
ここ十数年の豪雨被害にも、項目1で取り上げた気候変動の影響を感じます。ことしの台風19号・21号による河川の氾濫、浸水範囲は、平成30年7月豪雨を超え、19号で亡くなった方は全国で98名、3人が今も行方不明となっており、国は対策の見直しを迫られています。
ことしの台風で、私は町内放送や消防団の呼びかけが聞こえないという経験をしました。窓をあければ雨が吹き込み、風の轟音で放送はかき消されてしまいます。耳の聞こえにくい高齢者や避難に不安を抱えている人たちは、一体どんな思いでいるのだろうと心配になりました。 国の避難行動要支援者の避難行動支援に関する取り組み指針によると、避難行動要支援者名簿の作成に合わせて、平常時から個別計画の策定を進めることが適切、市町村が個別に避難行動要支援者と具体的な打ち合わせを行いながら、個別支援計画を策定することが望まれるとあります。
本市でも、台風だけではなく、南海トラフ地震発生のリスクは年々高まっており、個別支援計画の策定が急がれます。本市における個別支援計画の策定率についてお答えください。 今後、どのように個別支援計画の策定率を上げていくのか。また、策定に当たっての課題をお聞かせください。 地域の担い手である民生・児童委員や自治会などだけでは、個別支援計画に基づく避難への対応は不可能と考えますが、障害者や高齢者の避難について、市としてどのように対応していくのか、お聞かせください。
手引書には、避難行動要支援者は、避難支援者のボランティア精神に基づき支援を受けるものであり、避難行動要支援者名簿への登録によって災害時の支援を保障されるものではないと明記されていますが、内閣府の取り組み指針にあるように、名簿への登録によって、災害発生時における避難行動の際の支援を受ける可能性が高まるという意義を手引書に明記すべきだと考えます。
さらに、避難所の問題があります。 3年前の市長答弁以後、福祉避難所については、ホテルや宿泊施設との提携について検討するとのことで、2018年3月の教育民生常任委員会でも、旅館・ホテルの福祉避難所の創設については非常に大きな課題、市内には旅館やホテルがある一方、県内の他市町においてはない所もあり、県内全域的に考えないといけない、プロジェクトチームでさらに検討を重ねていきたいとの答弁がありましたが、旅館・ホテルとの福祉避難所提携についての検討結果についてお伺いします。
福祉避難所に避難するには、まず、一次避難所へ行けることが前提となります。一次避難所において、行政職員が該当者を選択し、適する福祉避難所とマッチングし、移送します。一次避難所へたどり着けない要支援者には、どのように対応していくのですか、お答えください。 避難所では、障害の種別によってさまざまな対応が必要になります。身体障害者だけではなく、視覚・聴覚・知的・精神障害など、障害に応じて必要な対応は異なります。自分が避難所に行くことで混乱を招くという理由で、避難所に行かなかった障害者が、東日本大震災でも熊本地震でも多く存在しました。障害者が避難所に行くことをためらう、そういう状況を私たちはなくしていかなければなりません。誰ひとり取り残さない、そのためにも、避難所で障害種別ごとの、きめ細やかな対応が必要になってきますが、具体的に災害時、高松市としてどのようにインクルーシブ──障害者の権利を守る避難所運営をしていくのか、考えをお聞かせください。 災害時に避難所で必要とされる合理的配慮──障害別の個別的な対応のガイドラインの整備を行うべきと考えますが、本市の考えをお聞かせください。 台風19号が私たちに突きつけた課題は、ほかにもあります。東京都台東区では、避難所の受け付けで北海道に住民票があると回答したホームレスの男性に対し、避難所は区民のための施設として利用を断り、批判を浴びました。本市において、避難所における住所不定者の扱いはどのようになっていますか、お答えください。
【健康福祉局長】
避難行動要支援者の避難のうち、個別支援計画の策定率についてでございますが、本市におきましては、地域コミュニティ協議会を初め、民生委員・児童委員や自主防災組織などの地域支援組織に対し、避難行動要支援者名簿を提供し、その名簿をもとに、地域や要支援者の実情に即して個別支援計画を策定するよう、お願いをしているところでございます。 昨年9月に、各コミュニティ協議会に個別支援計画の策定状況を照会した結果、名簿登録者数1万2,108人のうち、2,205人が策定済みでございまして、策定率といたしましては約18%と低くとどまっている状況でございます。
次に、個別支援計画の策定に当たっての課題と、今後どのように策定率を上げていくのかについてでございますが、個別支援計画には、避難経路や避難の手順など有事の際、避難するために必要な情報を整理した上で、明記しておく必要がございますことから、要支援者はもとより、実際に避難支援を行う支援者や地域支援組織が連携しながら策定する必要があるものと存じます。 しかしながら、市内の多くの地域では、計画策定のためのノウハウや情報不足により、策定の手順や手法が整理されていないことに加え、マンパワー不足などが課題となっており、思うように計画策定が進んでいない状況にございます。 このようなことから、本市といたしましては、今後、計画策定が進んでいない地域を中心に、個別支援計画策定の重要性について改めて周知するとともに、地域の防災研修会などに職員を派遣し、計画策定に向け、丁寧な説明や助言に努めるなど、市民の防災意識を高めていく中で、個別支援計画の策定率の向上につなげてまいりたいと存じます。
【市長】
障害者や高齢者の避難について、どのように対応していくのかについてであります。 避難行動要支援者への避難支援につきましては、地域や要支援者の実情を把握し、要支援者にとって、より身近な方に担っていただくことが、迅速かつ安全な避難のために大変重要であるものと存じます。 令和元年版防災白書で紹介されております愛媛県大洲市三善地区におきましては、平時より地域の防災リーダーが主体となり、避難計画の作成や避難訓練等、共助の取り組みを行っていた結果、平成30年7月豪雨の際、一人の犠牲者も出さない効果的な避難につながったと伺っております。
このようなことから、本市といたしましては、引き続き、地域支援組織に対し、具体的な避難経路等を記した個別支援計画の策定をお願いするとともに、地域における防災意識の向上に努める中で、住民主体の共助による避難支援につながるよう、積極的に働きかけてまいりたいと存じます。 さらに、要支援者の安否確認ができないなど、地域支援組織による共助だけでは避難支援が行き届かない場合には、公助が着実にそれを補えるような重層的な避難支援体制を構築してまいりたいと存じます。 次に、旅館・ホテルとの福祉避難所提携についての検討結果であります。 一昨年度、実施いたしました「高松市災害時要援護者支援に関する手引書」改訂プロジェクトチームでの検討において、旅館・ホテルとの福祉避難所提携については、県内全域の問題であり、広域的な対応が必要であるとのことから、昨年度、県に協力を依頼したところでございます。 その結果、本年5月に、県が香川県ホテル旅館生活衛生同業組合と災害時における宿泊施設等の提供に関する協定を締結したところでございまして、被災市町からの要請に基づき、障害者や高齢者など、要配慮者が宿泊施設等を利用できることとなったところでございます。
次に、一次避難所へたどり着けない要支援者には、どのように対応していくのかについてであります。 災害の状況によりましては、要支援者と支援者の連絡がとれない場合もございますことから、手引書でもお示ししておりますとおり、地域支援組織が協力団体と連携し、他の支援者等を派遣するなど、適切な避難支援に努めることといたしております。 このように、災害時には想定していない状況も多々起こり得ますことから、常日ごろから地域支援組織が連携して、要支援者の避難に携わる体制を構築しておくことが重要であるものと存じます。 既に、市内の一部地域では、区域を細分化した上で、地域支援組織の関係者などを中心に、災害時に協力を得られる協力員を募り、避難を支援する体制づくりが進められておりますことから、本市といたしましては、このような取り組みを市内各地区に紹介するなどして、地域との情報共有や連携を図る中で、地域の実情に合わせた実効性があり、重層的な避難支援体制の構築に向け、鋭意、取り組んでまいりたいと存じます。
【総務局長】
どのようにインクルーシブな避難所運営をしていくのかについてでございますが、本市では、災害発生時に指定避難所を開設した場合につきましては、地域での自主的な運営を促すため、避難所運営の手引きを各地域コミュニティ協議会に配付し、地域における独自の運営マニュアルの策定を促しているところでございます。 この手引では、障害者など特別な配慮が必要な方が安心して避難生活ができるよう、避難所のトイレに近い一部を間仕切りで区分する避難所福祉エリアを確保するとともに、障害のある方でも容易に使えるユニバーサルトイレなどを整備しているところでございます。 また、身体状況等により避難所での対応が困難な場合は、本市と障害者支援施設等との間で締結している障害者の受け入れ等に関する協定に基づき、福祉避難所として障害者支援施設へ移送できる体制を整えるなど、災害時に障害者が避難所へ行くことをためらうことがないよう、取り組んでいるところでございます。
次に、災害時に必要とされる合理的配慮のガイドラインの整備を行う考えについてでございますが、現在、策定しております高松市における障がいを理由とする差別の解消の推進に関する対応要領や、高松市災害時要配慮者支援に関する手引書を参考にするとともに、被災した他都市等の状況について調査する中で、今後の対応について検討してまいりたいと存じます。
次に、避難所における住所不定者の扱いについてでございますが、本年10月の台風19号では、他の自治体におきまして、避難所を開設した際、ホームレスの受け入れを拒否したとのことでございますが、本市地域防災計画におきましては、指定避難所において、被災者として受け入れる場合、住所を要件とせず、ホームレス等につきましても、地域住民と同様に区別なく受け入れることとしているところでございます。 項目2の答弁は、以上でございます。
【太田】
(5)について伺います。 個別支援計画の策定率が18%という状況で、高齢化の進む地域に自助・共助をというのは、私には、もはや障害者や高齢者は避難を諦めろと言ってるようにしか聞こえません。行政として、どのように対応していくのかということをお伺いしています。手引書には、ボランティア精神とありますが、災害時や緊急時に市民の命を守る仕事こそ、地域やボランティアに丸投げするのではなく、行政の職員が対応すべき仕事ではないのでしょうか。個人の善意に任せるのではなく、公の責任が問われていると思います。 (5)一次避難所にたどり着けない要支援者の対応について、特に行政としてどのように対応していくのか、お伺いします。
【市長】
37番太田議員の再質問にお答え申し上げます。
避難行動要支援者の避難のうち、一次避難所へたどり着けない要支援者には、どのように対応していくのかについてであります。 災害の状況によりましては、要支援者と支援者の連絡がとれない場合もあるなど、災害時には想定していない状況も起こり得ますことから、常日ごろから共助である地域支援組織が連携するとともに、共助だけでは避難支援が行き届かないような場合には、公助が着実に補えるような要支援者の避難に携わる体制を構築していくことが何よりも重要であるものと存じます。 既に、市内の一部地域では、区域を細分化した上で、災害時に協力を得られる協力員を募り、避難を支援する体制づくりが進められておりますことから、本市といたしましては、このような取り組みを市内各地区に紹介するなどして、地域の実情に合わせた実効性、また、公助がちゃんと補えるような重層的な避難支援体制の構築に向け、鋭意、取り組んでまいりたいと存じます。
【太田】
大項目3は、エシカル消費とアニマルウェルフェアについて伺います。
消費者庁が普及させようとしているエシカル消費という言葉があります。エシカルとは、倫理的を意味する言葉です。地球環境・人権・動物福祉などに配慮してつくられた商品を買うことによって、こうした価値を社会的に広げていくことには大きな意味があります。
エシカル商品の例としては、以下のようなものが挙げられます。1、児童労働の禁止など、人権や労働環境に配慮してつくられているもの。2、有機農産物。化学肥料や農薬の使用を避けて生産されたもの。3、放し飼いや平飼いの鶏による卵など、動物の福祉に配慮して生産されているもの。 エシカル消費という言葉は、一般的にはまだまだ広がっていませんが、SDGsの目標12、持続可能な生産消費形態を推進するにも合致します。消費者が産業を支え、ひいては地元経済のためにも有益な考え方であり、以下、質問します。
消費者庁は、エシカル消費の普及啓発のために、エシカル甲子園を開催しています。これは、持続可能な社会に向けて、エシカル消費の推進や実践をする高校生が、日ごろの取り組みの成果や今後の展望について発表する大会です。本市においても、ことしの高松市環境学習出前講座の中に、「買い物から考える~消費者の視点で考える『エシカル消費』って何?~」という講座があるのを見つけて、大変うれしく思いました。今年度、エシカル消費をテーマにした出前講座の受講者数と、今後さらに広げていく考えについてお答えください。 小学校でも、消費生活教育出前講座が行われていますが、講座の利用状況と、講座の内容に、エシカル消費を加える考えについてお答えください。 先ほど、エシカル商品の三つ目に動物の福祉という観点を例示しました。私たちは消費者として、スーパーなどに陳列された肉や加工品を購入しますが、どのようにその牛や豚が飼育され、解体されたかということを考える人は少ないでしょう。 しかし、世界的には、アニマルウェルフェア──動物福祉という考え方が広がっています。感受性を持つ生き物としての家畜に心を寄り添わせ、誕生から死を迎えるまでの間、ストレスをできる限り、少なくした生活ができる飼育方法を目指す畜産のあり方で、これは東京オリンピック・パラリンピック競技大会の食材基準にもなっています。アニマルウェルフェアの考えは、日本も加盟している世界動物保健機関──OIEが、2005年に世界家畜福祉基準を策定して以降、欧米市場で広く受け入れられており、日本でも農林水産省がアニマルウェルフェアの考え方について普及に努めています。
以上の観点から、本市の食肉センターについてお伺いします。 食肉センターは、2006年度から指定管理者制度を導入していますが、管理を指定している本市の適正な指導が求められます。食肉センターでは、主に牛を扱っており、年間の屠畜数は約1万頭、家畜の個々の命の最終点であると同時に、食材としての出発点でもあります。輸送されてきた牛は、平均何時間係留されていますか。 食肉センターで扱われる牛は、県外産が約7割を占めており、遠くは北海道からも輸送されてきます。長距離輸送によって、牛には相当のストレスがかかります。牛が係留されている間、飲み水は常時与えられていますか。OIEのガイドラインによれば、到着後12時間以内に屠殺されない動物は、適当な間隔で適量の餌を与え続けるべきであるとありますが、食肉センターにおける給餌状況はどのようになっていますか。 屠室への追い込みの際、追い込み作業として、尻尾をつかんで折り曲げる行為、それによって骨折を伴うことが全国の屠畜場で散見されていますが、食肉センターではどのように追い込み作業を行っていますか。 以上を踏まえて、食肉センターにおけるアニマルウェルフェアの取り組みについてお伺いします。 食肉センターでの業務は、日々、命と向き合う仕事です。また、何百という牛を解体する作業は大変な重労働です。従事者の方々に敬意を払うとともに、私たちは食材の肉が生き物であったときに、人間からどのような扱いを受けてきたのかということに思いをはせ、エシカル消費として考慮していくべきです。
最後に、指定管理者にも、アニマルウェルフェアについて周知していく考えについてお伺いします。
【環境局長】
エシカル消費とアニマルウェルフェアについてのうち、エシカル消費をテーマにした出前講座の受講者数でございますが、本年度は、NPOグリーンコンシューマー高松による出前講座を実施しておりまして、これまで地域団体からの依頼が1件ございまして、受講者数は35人でございます。 また、今後さらに広げていく考えについてでございますが、出前講座には、御質問の講座以外にも、ごみの減量・資源化や温暖化防止など、環境問題を通してエシカル消費の考え方につながる、さまざまな講座メニューを準備しております。 今後とも、これらのメニューの充実を図るとともに、出前講座の一層の周知に努め、より多くの皆様に活用していただくことで、エシカル消費の内容や、その必要性を広めてまいりたいと存じます。
【市民政策局長】
消費生活教育出前講座の利用状況についてでございますが、本市では、開催を希望する小学校からの申し込みにより、消費生活相談員を派遣し、子供たちが消費生活に関する基礎的知識を身につけられるよう、上手な買い物の仕方やキャッシュレス決済などを紹介する講座を平成24年度から実施しているものでございます。 昨年度の利用状況は、8小学校において15の講座を実施し、小学5年生を中心に約600人の児童が受講している状況でございます。
次に、消費生活教育出前講座の内容に、エシカル消費を加える考えについてでございますが、現在の講座におきましても、エコマーク等、環境について考えられた表示等について紹介をしているところでございます。 今後におきましては、さらに詳しく、人や社会・地球環境に配慮した考え方や行動を学ぶことは、大変有意義であるものと存じておりますことから、小学校からの御意見も参考にさせていただきながら、講座の内容にエシカル消費を加えることにつきまして検討してまいりたいと存じます。
【創造都市推進局長】
食肉センターにおけるアニマルウェルフェアの取り組みについてでございますが、本市の食肉センターにおきましては、屠畜する牛の係留所を空調により温度管理を行うとともに、飲用水につきましても、施設を整備した当初から給水設備を設置し、必要な水分を供給できる体制を整えているところでございます。 また、屠畜する際の牛の追い込みにつきましては、作業員の安全に十分配慮する中で、できるだけ牛に過度なストレスを与えないよう、ウインチなどを使用して行っております。 一方、センターでは、午前中に集中して屠畜を行っておりますことから、牛の搬入時刻によりましては、OIEのガイドラインの12時間を多少超過している状況もございますものの、搬入された牛の多くを12時間以内に屠畜していることから、給餌は行っていないとの報告を受けております。 このように、食肉センターにおきましては、施設・設備面で限りがあるものの、アニマルウェルフェアの考えに一定の配慮をした対応に努めております。
次に、指定管理者にアニマルウェルフェアを周知していく考えについてでございますが、食肉センターにおきましては、先ほども申し上げましたように、既にアニマルウェルフェアに一定の配慮をした対応に努めているところでございます。特に、センターでは、輸出用の牛肉の加工も行っており、国内はもとより、国外の衛生基準等にも一層配慮した運営が必要となるものと存じます。 このようなことから、今後、アニマルウェルフェアに関する新たな情報等について、本市からも指定管理者に対し、周知してまいりたいと存じます。 項目3の答弁は、以上でございます。