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議事録

2019年6月定例会 一般質問

【太田】

一般質問、大項目の1は、交通バリアフリーについてお伺いします。

先日、高松市道において車で信号待ちをしていた際、電動車椅子に乗った方が横断歩道を渡っていましたが、渡り切った先の歩道の勾配がきつく、電動車椅子が今にも後ろに倒れそうになっていました。

渡り切った先の歩道で動かないでいるので、慌てて駆け寄ると、ここの信号はいつも渡りにくいとおっしゃいました。段差を通った際に、固定していた携帯電話が落ちて、拾ってくれる人があらわれるのを待つために、その場でとまっていたそうです。

車椅子・ベビーカー・手押しカートなどを使用している高齢者・視覚障害の方など、いわゆる交通弱者と呼ばれる人々にとっては、歩道の段差や勾配など、ちょっとしたことが重大な危険を引き起こすことがあります。

後日、この横断歩道に調査に行くと、車道よりも歩道面が20センチも高いマウントアップ形式と呼ばれる歩道でした。高い歩道から横断歩道に向かう急な斜面のアスファルトがひどくひび割れて、でこぼこな上に、車道への段差を埋める処理をしていないので、車椅子が倒れやすいなどの問題があると感じました。昨年のパラ陸上大会の選手アンケートでも、道ががたがたして、車椅子にとっては不便という回答が目立っていました。

国土交通省が2005年に改正した歩道の一般的構造に関する基準には、歩道は、歩道面を縁石の高さより低くするセミフラット形式を基本とすると書かれています。具体的には、歩道面と車道面の高低差を5センチとすることを原則にすると明示しています。

高松市においては、2003年に高松市交通バリアフリー基本構想を策定し、翌2004年から特定経路、うち市道は13路線ですが、その修繕を進めましたが、その後、官公庁施設の移転・統合などもあり、計画当初とは市民の居住区域や生活区域が大きくさま変わりしています。

そもそも市役所東側の歩道がマウントアップ形式になっていて、とても歩行者に配慮しているとは思えないつくりになっています。

同基準では、セミフラット形式の推進に加えて、歩道の横断勾配を減らす方向性も明記されました。

このことについては、滋賀県高島健康福祉事務所の浅田朋彦さんほか4名が共同執筆した、歩道敷設における医学的課題の工学技術による解決手法を参照していただければ、大変参考になります。

ユニバーサルデザインのまちを掲げる高松市において、どのような立場の人でも、ひとしく安全な歩行空間が確保されなければなりません。幹線道路だけではなく、生活道路においても、地域の安全対策と一体となったユニバーサルデザイン化が必要と考えます。

これら、国土交通省の基準を多くの歩道で実現していくことは、高松市において、極めて重要な施策ではないでしょうか。

高齢者の運転免許証返納が進めば、さらに歩道の重要性は増してきます。安心・安全な歩行空間の確保については、市民をも巻き込んだ議論が必要になっていくと考えられますが、現在、既にマウントアップ形式で整備されている歩道を含め、今後の道路改修・修繕時における歩道のあり方について、市の考えをお聞かせください。

交通バリアフリー基本構想に基づき、2004年から修繕した特定経路以外に、保育園や車椅子の方が多く利用する老人ホームや介護施設等の福祉施設近辺など、特に、交通バリアフリーが必要なエリアにおいての歩道整備の方針についてお聞かせください。

高松市内の至る所に、このように安全とは言えない歩行空間が多く存在します。市で把握している箇所もあれば、把握に至らない問題のある歩道も多いかと思います。そこで、従来より提案してきた市民参加型の道路情報通報システムの早期の導入を再提案します。

以前、調査研究という答弁を何度かいただいていますが、町田市・松本市・福山市ほか多くの自治体で、この1年の間にもシステムが導入され、運用が始まりました。

市職員の目が届かないところまでしっかり見ていく、市民にとって安全な歩行空間の確保といった点からも、道路情報通報システムの導入についてお答えください。

【都市整備局長】

37番太田議員の御質問にお答え申し上げます。

交通バリアフリーのうち、今後の道路改修・修繕時における歩道のあり方についての考えでございますが、本市では、従来、歩行者の安全を図るため、歩道と車道との間に段差を設け、自動車と歩行者を明確に分離するマウントアップ形式により、歩道を整備してきたところでございます。

その後、平成8年の香川県福祉のまちづくり条例の制定を受け、順次、バリアフリー化を進めてまいりましたが、17年に、国の歩道の一般的構造に関する基準が改正されたことを踏まえ、現在では、歩道面と車道面の高低差が5センチ程度のセミフラット形式による整備を基本としているところでございます。

これまでにも、電線共同溝工事に合わせ、マウントアップ形式をセミフラット形式に改良したほか、現地の状況に応じ、可能な限り、段差解消を図ってきたところでございます。

今後におきましても、安心・安全な歩行空間の確保を図るため、道路の改修や修繕等の際には、宅地への出入りや車道からの車両乗り入れ等に支障のない範囲で、歩道の改良に努めてまいりたいと存じます。

次に、特に、必要なエリアにおいての歩道整備の方針についてでございますが、本市では、平成12年の高齢者、身体障害者等の公共交通機関を利用した移動の円滑化の促進に関する法律の施行を受け、15年に高松市交通バリアフリー基本構想を策定したところでございます。

この構想では、利用者数の多い駅や福祉施設などの立地を考慮し、重点整備地区及び特定経路を設定し、バリアフリー化を進めることとしており、これまでにも歩道の段差を解消してきたところでございますが、現時点におきましても、特定経路において、なお、未整備の箇所があるところでございます。

このようなことから、まずは、特定経路の未整備箇所のほか、重点整備地区内にある福祉施設周辺等について、引き続き、沿道の状況や通行量等を考慮し、バリアフリー化が可能な箇所の整備を進めるとともに、特に、歩道の段差などに、格段の配慮が求められる、車椅子利用者等の利用経路も視野に、費用対効果をも勘案し、歩道の円滑な通行の確保に努めてまいりたいと存じます。

次に、道路情報通報システムの導入についてでございますが、道路や公園等の損傷箇所を、市民がスマートフォン等を通じて通報するシステムにつきましては、近年、導入する自治体が、増加傾向にあるものと存じております。

このような中、本市におきましても、現在、ICTを活用した災害時の情報提供ツール導入の検討を進めておりまして、具体的には、スマートシティたかまつ推進協議会会員のインフラ事業者が、自社の提供する、電気・ガス・通信等のサービスの災害復旧作業時に発見した、道路などの破損状況や位置情報の画像等を、スマートフォンのアプリケーションで、情報提供していただくものでございます。

御提案の、道路情報通報システムにつきましては、現時点では、導入に当たっての運用ルールの策定など、解決すべき課題もございますことから、まずは、ただいま申し上げました災害時の情報提供ツールの早期導入を目指す中で、種々の課題等を整理し、本市に適した、道路情報通報システムのあり方について検討してまいりたいと存じます。

項目1の答弁は、以上でございます。

【太田】

(3)について再質問いたします。

このシステム導入に関するこれまでの市議会における議事録はお読みいただけましたでしょうか。

一番最初に、このシステム導入に関する一般質問が取り上げられたのは、平成26年です。あれから5年たっています。そのたびに、調査研究という答弁に終始されてきましたが、一体この5年間で、どのように調査研究が行われて、その成果がどうだったのか。ネックとなるポイントが何だったのかというのが、今の答弁に抜けていると思います。運用のルールを定めるのに5年もの月日が必要なのでしょうか。

先ほど局長がおっしゃったように、今回の予算に、災害時、事業者に限定した情報提供ツールに関する補正予算出ていますけれど、年に数件、道路の陥没などの不具合による、事故やけがに対する賠償が専決処分で出てきています。道路のパトロールだけでは、どうしても生活道路の陥没などのふぐあいとかは発見できないんです。その道をよく知っている人に協力をしてもらいましょうということです。

誰がその道をよく知ってるかというと、その道を毎日通る市民の方です。その道を通る当事者こそが専門家という視点で、地方自治体の存在意義である住民の福祉の増進という観点からも、必要なシステム導入だと思います。

再度、道路情報通報システムの早期導入についてお答えください。

以上です。

【都市整備局長】

37番太田議員の再質問にお答え申し上げます。

交通バリアフリーのうち、道路情報通報システムの導入についてでございますが、現在、ICTを活用した災害時の情報提供ツール導入の検討を進めておりまして、また、先進都市の状況等を調査研究した結果、現時点では、なお導入に当たっての運用ルールの策定など、解決すべき課題もございますことから、まずは、先ほど申し上げましたICTを活用した災害時の情報提供ツールの早期導入を目指す中で、種々の課題等を整理し、御質問にもございました道路情報通報システムのあり方について検討してまいりたいと存じます。御理解賜りたいと存じます。

【太田】

大項目の2は、児童虐待についてです。

2018年度に高松市で対応した児童虐待相談対応件数は301件と、前年比プラス101件、10年前と比較すると倍以上になっています。また、全国的にも児童虐待のニュースが後を絶ちません。

高松市においては、昨年度から、こども女性相談室は課に昇格し、課内に、子ども総合支援拠点を整備し、さまざまな事案に対応しているところです。現在、こども女性相談課は、正規職員8名、非常勤職員10名の体制ですが、事務に従事する職員以外は、全ての方が何らかの福祉に関する主な資格を有し、日々業務に当たっておられます。

突発的な相談に対応するだけではなく、継続的な支援を必要とするケースもあり、また、近年の家庭環境の多様化を鑑みると、より細やかな支援が求められる場合もあり、こども女性相談課内だけで対応・解決できない問題も多々あることは、容易に想像できます。

複雑化する社会において、高松市における児童虐待対応の体制充実と、職員の職務能力向上のための福祉に関する資格取得について、市の考えをお聞かせください。

また、児童虐待の問題は、全庁的にさまざまな部署にかかわる問題です。部署を横断して、児童虐待についての研修の機会を増やすべきと考えますが、考えをお聞かせください。

テレビや新聞で事件が報道されることで、私たち市民にとっても、児童虐待は身近なところにあるかもしれないものというように、意識変化が起こっているのではないでしょうか。

しかし、個人によって考え方や物事の捉え方が違うように、子供の泣き声を聞いて、これは虐待事案かもしれないと考える人もいれば、これくらいなら大丈夫と捉える人もいます。

高松市のホームページを見ると、「「虐待を受けたと思われる子ども」がいたら、いつでも連絡・相談してください。」との一文が掲載されているだけです。どのようなことが虐待に当たるかの説明もなければ、通告後の経緯も書かれておらず、実際、これは、虐待事案かもしれないと感じた人がいても、本当に虐待に当たるのかどうか迷ったあげく、通告できないというケースもあります。

例えば、東京都小平市では、児童虐待早期発見のためのチェックリストを、親の様子・子供の様子に分けてホームページに掲載しています。さらに、連絡・通告の際に必要となるポイントもまとめてあります。

このように、市民が共通して利用できるリストがあれば、通告の根拠が明確化されることで、早期に虐待事案の発見・対応が可能になると考えます。これまで意識を持てていなかった人が、意識を向けるきっかけにもなり得るのではないでしょうか。

このようなことから、高松市において、ホームページや「広報たかまつ」を活用し、チェックリスト等を含め、早期の児童虐待発見につなげていく考えについてお聞かせください。

【市長】

児童虐待のうち、児童虐待対応の体制充実についてであります。

本市におきましては、御質問にもございましたように、児童虐待の相談対応件数が、平成29年度は200件でありましたものが、30年度には301件と大幅に増加するなど、深刻な状況が続いております。

このような中、本市におきましては、今年度から新たに、医師免許を有する職員により、虐待案件を受理した際などに専門的な判断を行うとともに、増大する虐待相談や、児童相談所からの事案送致に適切に対応できるよう、子ども家庭支援員を増員配置するなど、体制の充実を図ったところでございます。

今後におきましても、虐待事案の増加や複雑化が予想されることを踏まえ、さらなる体制の充実に努めてまいりたいと存じます。

また、職員の職務能力向上のための福祉に関する資格取得についてであります。

昨年度、設置いたしました子ども家庭総合支援拠点におきましては、国の設置運営要綱に基づき、保健師・保育士・精神保健福祉士等、必要とされる資格等を有する職員を配置してるところでございます。

しかしながら、増加の一途をたどる虐待事案に対し、迅速かつ適切に対応するためには、体制を、さらに充実させる必要がございますことから、今後とも、県との人事交流を継続することはもとより、本市の職員資格取得助成制度を活用した、福祉に関する資格の取得を奨励するなど、必要とされる人材の育成及び確保に努めてまいりたいと存じます。

【健康福祉局長】

部署を横断して、児童虐待について研修の機会を増やす考えでございますが、本市におきましては、保健師や保育教育士、学校の教職員など、子供と接する機会の多い職員を対象とした研修会に、担当職員が直接出向き、児童虐待の現状を初め、虐待を疑った際の観察の視点や、通告後の虐待受理の流れなどを説明してきたところでございます。

児童虐待につきましては、担当部署に限らずさまざまな部署にかかわっていること、また、本市職員の虐待の認識を高めることは、早期発見・早期対応にもつながりますことから、御提言の、部署を横断した児童虐待についての研修等を開催するなど、研修の機会を増やしてまいりたいと存じます。

次に、ホームページや「広報たかまつ」を活用し、チェックリスト等を含め、早期の児童虐待発見につなげていく考えでございますが、本市におきましては、現在、ホームページにおきまして、虐待を発見した際の通告先について周知しているとこでございます。

御提言の、児童虐待を発見した際の対応など、ホームページ等を通じて広く市民に周知することは、児童虐待の早期発見に、大変有意義な方法であるものと存じます。

このようなことから、今後、他市の取り組み等も参考に、市民が虐待を発見した際に、ちゅうちょなく通告ができるよう、虐待の種別やチェックリスト・通告先等を、わかりやすくホームページに掲載するとともに、11月の児童虐待防止推進月間等において「広報たかまつ」へも掲載するなど、周知に努めてまいりたいと存じます。

項目2の答弁は、以上でございます。

【太田】

最後に、放射線副読本についてお伺いします。

昨年10月、文部科学省から、小学生のための放射線副読本、中学生・高校生のための放射線副読本が配付されました。約4年前にも発行したものの改訂版となっています。

この副読本には、誤解を招く表現が随所に見られます。例えば、日本の水や食料の放射線の基準は世界でも最も厳しいという表がありますが、この表は、日本の平時の基準と諸外国の緊急時の基準を横並びに掲載して、日本の基準は厳しいとしています。

このようなごまかしをもとに、日本の放射線基準は、さも安全であるかのような教育を行うということは、非常に危険なことではないかと危惧をしています。

原子力発電所の事故と復興の歩みでは、原発事故後7年で福島県内の空間線量が減少したことのみを述べていますが、周辺県を含めて、汚染地域では、今も事故前より線量が高いこと、除染されていない山林や、高線量のホットスポットの存在などは、この副読本には書かれていません。自然界にも放射性物質はあるとして、過剰に恐れることはないというような結論に導こうとしていますが、本来なかったはずの不当な被曝が、福島第一原発の事故の加害責任として問題にされるべきだという視点も抜けています。

さらに、現在の福島第一原発は安定した状態を保っているという表記がありますが、福島第一原発は事故後に核燃料がメルトスルーを起こし、いまだに内部燃料を取り出すことができていません。事故後8年たった現在も、核燃料は地下水を汚染し、大量の汚染水を排出し続けています。いまだに、私たちは原子力非常事態宣言のさなかにいるという事実も書かれていません。

福島大学共生システム理工学類の後藤 忍准教授は、ほかにも多くの放射線副読本の問題点を指摘しています。

滋賀県野洲市では、教育委員会が内容に問題があるとして、副読本の回収を決めています。また、教育委員会の判断で配付を見合わせている自治体もあると伺っています。さらに、東京都小金井市では、議員提案で、配付の見直しを求める意見書が可決されました。

そこでお伺いします。

放射線副読本について、市内の小学校・中学校全てに届いて、既に配付されたのか。また、各校での対応をお伺いします。

また、文部科学省からはどのような指示があったのか、正確にお答えください。

副読本の内容について、教育委員会ではどのような検討がなされたのか、お答えください。

このように、真に必要な情報や、事故後8年たった今でも、生まれ育った故郷に戻れず、避難生活を続ける人が4万人いる中で、放射線は安全であるとしか捉えようのない放射線副読本の配付を市が行うという行為は、「個人の尊厳を重んじ、真理と平和を希求する人間の育成」をすると定めた教育基本法の理念や、高松市の子ども・子育て条例の基本理念にも反するものと考えます。

以上のことから、放射線副読本の配付については見直しを行うべきと考えますが、教育委員会の考えをお伺いします。

【教育長】

放射線副読本のうち、小中学校全てに届いて、既に配付されたのか、また、各校での対応についてであります。

文部科学省では、児童生徒が放射線に関する科学的な知識を身につけ、理解を深めることができるよう、平成26年3月に放射線副読本を作成し、全国の小学校・中学校に配付しておりましたが、内容や構成の見直しをし、今般、放射線副読本を改訂したところでございます。

改訂版の放射線副読本の配付につきましては、昨年10月に、国から本市の全ての小中学校へ直接配付されております。

小学校では約9割の学校が、中学校では約6割の学校が、全校生、または、一部の学年の児童生徒に副読本を配付し、小学校におきましては、社会科や理科、総合的な学習の時間等で、中学校におきましては、主に理科での学習の資料として使用しております。

次に、文部科学省から副読本についてどのような指示があったのかについてであります。

放射線副読本の配付に際して、文部科学省からは文書にて、小中学校への配付の連絡とともに、改訂のポイントや活用の留意点についての周知がありました。

そのうち、改訂のポイントにつきましては、章立ての見直し、いじめ防止の内容の拡充、復興の歩みの追記を挙げております。

また、活用の留意点につきましては、いじめは許されないことの徹底、新学習指導要領解説総則、付録6、放射線に関する教育も参考にしながら、教科横断的に放射線に関する教育に取り組むこと、保護者等からも放射線に関する教育の実施についての理解が得られる工夫をすることなどが示されております。

次に、副読本の内容について、どのような検討がなされたのかについてであります。

放射線副読本については、担当課によって検討を行い、児童生徒が放射線に関する科学的な知識を身につけ、理解を深めたり、風評被害や差別など、社会的な問題について、各教科等で活用できる資料の一つであると承知したところであります。

さらに、改訂前の冊子に比べ、より風評被害の払拭や、避難児童生徒に対するいじめ防止の内容に言及していると捉えたところであります。

次に、副読本の配付について見直す考えについてであります。

国から配付された放射線副読本は、新学習指導要領に示されております放射線に関する科学的な理解や、みずからが思考し、判断する力の育成のみならず、原子力発電所の事故による差別やいじめ問題に対応しており、さらに、編集には、放射線の専門家だけではなく、福島県の教育関係者や、この冊子を主に扱う教科等の学校関係者も協力しておりますことから、配付を見直すことは考えておりません。

一方、この冊子については、さまざまな御意見もあるようですので、今後、各学校で活用する中で、さらなる見直しを求める意見があれば、学校から収集して検討し、必要に応じて国や県に報告してまいりたいと考えております。

項目3の答弁は、以上でございます。

【太田】

(4)について再質問をいたします。

学校から要望があれば何らか考えるということですけれど、今回の副読本、前回の2014年版と比較をしてみると、今回の主な特徴というのが、原発事故の過小評価、放射線被曝の安全神話の流布、いじめ問題・復興への焦点ずらしだと思っています。

いじめ問題に関する資料は、すごく大事です。いじめはあってはならないことです。でも、そもそも放射線被曝を引き起こした原因はどこにあるのかということ、電力会社とか政府の責任による人権侵害についてということが全く書かれていない。

このように公平性を欠いているという点やデータにトリックがあるという点を、授業の中でしっかり取り上げているのならまだしも、国から送られてきたものを児童生徒に配付して、理科とか社会で使われていると言ってはいますけれど、それで終わりでは、余りにも無責任過ぎると思ってます。

なぜ、滋賀県の野洲市が回収を決めたのか。それは、恐らく、今なお、避難を続ける4万人の人々に対する配慮がないと判断したからではないかと思ってます。高松市にも、原発事故によって避難・移住してこられた方はたくさんおられます。無用な被曝を強いられて、ふるさとを追われた方々の心情に、ぜひ寄り添っていただきたいと思っています。

それと、先般、代表質問に対する答弁で、市長は、過去の延長線上に未来はないと答えておりますが、私は、この言葉に違和感しかなかったです。過去と向き合って、過去から学んで未来へつなげていく。過去の延長線上にしか未来はないと、私は考えています。

これから小学生になる子供たちは、東日本大震災も原発事故もリアルタイムで知らない年代です。大人の教え方が問われてます。

このようなことからも、現場任せにするのではなくて、副読本の中身の精査が必要です。

再度、副読本の配付見直しについて、事故を矮小化したものを国からの指示というだけで、安易に配付するのはいかがなものかと思います。配付見直しについての考えをお伺いします。

【教育長】

37番太田議員の再質問にお答え申し上げます。

放射線読本のうち、副読本の配付を見直す考えについてであります。

国から配付された放射線副読本については、担当課によって検討を行いまして、児童生徒が放射線に関する科学的な知識を身につけ、理解を深めたり、風評被害や差別など社会的な問題について、各教科等で活用できる資料の一つであると承知したところであります。

また、教育基本法にのっとった新学習指導要領に示されております放射線に関する科学的な理解や、みずからが思考し、判断する力の育成のみならず、特に、原子力発電所の事故による差別やいじめ問題に対応しており、配付を見直す考えはございません。

一方、この冊子につきましては、さまざまな御意見もあるようですので、今後、各学校で活用する中で、さらなる見直しを求める意見があれば、学校から収集して検討し、必要に応じて国や県に報告してまいりたいと考えております。


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