2016年12月定例会 一般質問
【太田】
市民派改革ネットの太田安由美です。 東日本大震災から間もなく6年、また、ことしに入って熊本地震・鳥取県中部地震と大きな地震が発生。先日は、福島県沖でマグニチュード7.4の地震が起こり、青森県から千葉県にかけて太平洋沿いの広い地域で数十センチから2メートルを超す津波が観測されました。 政府地震調査研究推進本部の発表によると、マグニチュード8から9クラスの地震が南海トラフで発生する確率は30年以内に70%程度となっています。地震だけではなく、津波や震災火災という複合災害が起こることも想定し、備えておかなければなりません。 一方で、2016年版高齢社会白書によると、総人口に占める65歳以上人口の割合──高齢化率は26.7%で、本市における高齢化率も約27%です。東日本大震災においては、被災地全体の死者数のうち、高齢者の死者数は約6割で、障害者の死亡率は、被災住民の全体の死亡率の約2倍に上りました。他方で、消防職員・消防団員・民生委員の死者・行方不明者は337名に上るなど、多数の支援者も犠牲となりました。 これらのことを受け、国において2013年の災害対策基本法の一部改正により、災害発生時の避難等に特に支援を要する方の名簿の作成を義務づけること等が規定されました。 本市においては、6月定例会において市長より、今年度中に高松市災害時要援護者支援に関する手引書の改訂をし、福祉避難所の機能充実に努めていくとの答弁がありました。 災害対策について、まず、高松市災害時要援護者支援に関する手引書改訂の進捗状況についてお示しください。 現在、本市においては、27の特別養護老人ホーム、19の介護老人保健施設、七つの障害者支援施設と災害時の福祉避難所として受け入れ等に関する協定を締結しています。しかし、11月1日現在、特別養護老人ホームは多くの施設で満床、入所待機の予約者は多い施設では380名に上ります。介護老人保健施設においても、あきはゼロから10人未満の施設がほとんどを占めています。 このような状況にあって、災害時、まずは自身の施設の入居者の安全を確保しなければならず、ましてや、介護人材不足が叫ばれている今、本当に要援護者の受け入れが可能なのでしょうか。また、障害者支援施設においても、入所者の多い施設が大半で、いざというときに重度の障害者を受け入れることが可能かどうかは再度検証すべきです。 2016年3月31日時点で、高松市内の身体障害者手帳1級または2級交付者は8,277名、療育手帳最重度及び重度交付者は1,130名、精神障害者保健福祉手帳1級交付者は190名で、このうち、居宅で生活している方が災害時要援護者となります。しかし、本市が形式的に災害時要援護者と定めているこれらの方々以外にも、通常の避難所では不安という方も多く存在します。 福祉避難所についてお伺いします。 福祉避難所への避難者は、災害による生活環境の変化によって健康被害を受けやすく、災害直後は状態が安定していても、状態が悪化して、さらに支援が必要になることが考えられます。そのため、避難者の状態を継続的に観察する専門職の視点が欠かせず、専門職を中心とした支援人材の確保が重要となることは明らかです。 平時より、福祉避難所となる福祉施設等と連携を図り、災害時の受け入れ拠点・活動支援体制について、どのような取り決めが行われているのか。 また、福祉避難所において、災害時に十分な人材確保は可能なのか。 さらに、避難者に必要な薬や経管栄養などの確保は、どのようにしていくのか、お考えをお示しください。 また、災害時要援護者の定義の中には含まれないけれど、障害者や高齢者の身体の程度によっては、床では眠れないという方がいます。東日本大震災や熊本地震に際しても、横になれないので、避難所の椅子や車椅子に座ったまま眠ったとの声は非常に多く、このようなケースはエコノミー症候群を引き起こす事例としても報告がなされているところです。災害発生時には、ホテル等を借り上げてベッドで眠れる環境を整えることも必要だと考えます。新しい手引書には、災害時に障害者や高齢者を受け入れるため、ホテル等と提携する計画はあるのか、お答えください。 現行の同手引書には、要援護者台帳の更新は毎年1回行うと明記されていますが、実際に要援護者台帳登録者にお話を伺うと、毎年、内容の更新をしている方もいれば、何年か前に民生委員の方が来て登録をして以降、何の音沙汰もなく、不安を感じているなど、台帳の更新について差があります。市として、要援護者台帳の更新状況を、どのように管理しているのか、お聞かせください。 さて、現在、各地域コミュニティ協議会や市内企業においては、積極的に防災訓練が行われているところです。私は、市内全地域コミュニティ協議会に防災訓練に関するアンケートを行いました。回答数は25件、このうち防災訓練実施時に災害時要援護者に対して何らかの具体的な配慮を行っていると回答があったのは13協議会と、各地域コミュニティ協議会において差が生じていることが明らかになりました。 配慮を行っている具体例としては、一時避難の際の声かけ避難と地区内での情報共有、民生委員や福祉避難所と連携し、安否確認の方法の確認、救護所を広く設け、車椅子で避難所に来る訓練だけでも参加できるように工夫しているなどが挙げられました。緊急時のとっさの判断は、避難・防災訓練での経験が生きることが多くあります。 そこで、今後、地域コミュニティ協議会等が実施する防災・避難訓練の際に、災害時要援護者に対して、何らかの配慮をしていくように促していく考えについてお聞かせください。 次に、昨年度、高松市協働企画提案事業として、個別避難支援計画の策定支援及び要援護者見守り検索機能マップの作成を行っていますが、この協働事業の具体的な内容と、その成果・課題についてお答えください。 また、同協働事業が全市的に効果的なものかどうかも、あわせてお答えください。 現在策定中の地域の実情に応じた、より実効性のある防災活動に関する計画である地域コミュニティ継続計画の地域での防災活動のポイントのうち、女性の積極的な参画の例として、避難所での食事や清掃など、生活のルールづくりの検討と書かれています。災害時、また、防災の面で、女性の感覚は大切です。それは妊産婦、月経、乳児への授乳スペースの確保や避難所での性暴力から未然に身を守る方法などという観点からです。間違っても、市が食事の準備や避難所の掃除は、女性の仕事などと決めつけるべきではありません。食事や清掃は、大人も子供も、男性も女性も、いろんな人が協力し合うべきです。事実、同計画の「東日本大震災から学ぶこと」の章には、避難所の食事の用意は当初、女性ばかりが行っていましたが、男性が参加することで配膳方法や順番など、いろいろな問題が解決できましたとあります。 地域コミュニティ継続計画のうち、女性の積極的参画の例についての所見をお聞かせください。 さて、2016年10月末現在、市内の外国人住民人口は3,992名、実に70カ国近くの人々が高松市で暮らしています。このうち、外国人のみの世帯は2,284世帯。人数の多い順に、中国・フィリピン・韓国・ベトナム・ネパール・インドネシア・アメリカ・台湾・カンボジア・ブラジルなどとなっています。高松市ホームページには、多言語情報として幾つかのサイトにリンクを張っていますが、県作成のわが家の防災対策は英語と中国語のみ、災害から身を守るために──香川県総務部国際課のページは、やさしい日本語を含む8カ国語の防災ハンドブックを掲載、一般財団法人 自治体国際化協会の多言語生活情報のページは、やさしい日本語を含む14カ国語に対応しており、避難の仕方や避難場所の違いを掲載していますが、これは全国全ての自治体向けの情報のため、災害時に備えて、まず、市区町村の役所で防災マップを入手し、自分の住んでいる地域の一時避難場所・広域避難場所を確認し、自宅から避難場所までの経路を確認しましょうと記載されています。 市役所で入手できる防災マップは、凡例に英語・中国語・韓国語が掲載されていますが、例えば市内の外国人住民が国籍別で5番目に多いネパールでは、公用語はネパール語で、47.8%の人々がネパール語を話しますが、地域や民族によって話す言語は異なります。いざ避難生活を送るとなったとき、外国人住民もまた情報の取得という面で災害弱者となり得ます。 外国人住民に対して、災害発生時に備えた訓練は行われているのか。行われていれば、訓練の具体的な内容を示してください。 平時から、私たちは、声なき声こそを大切にしなければなりません。当事者の声を埋もれさせることなく、すくい上げていくことこそが、30年以内に70%の確率に耐え得る災害対策であると考えます。 項目1の質問を終わります。
【健康福祉局長】
33番太田議員の御質問にお答え申し上げます。 災害対策のうち、高松市災害時要援護者支援に関する手引書改訂の進捗状況についてでございますが、本市では、これまでの大規模災害での教訓や課題を踏まえるとともに、内閣府が作成した福祉避難所の確保・運営ガイドラインに基づき、高松市災害時要援護者支援に関する手引書を改訂することとしております。
このような中、本市におきまして、改訂に向けての諸準備を進めておりましたところ、県が県内各市町を対象に福祉避難所の現状と課題を把握するためのアンケート調査を実施し、その結果をもとに、先月末、福祉避難所設置・運営マニュアル作成例を示し、福祉避難所における所要の対応が一層推進されるよう、県内市町に促したところでございます。
今後におきましては、県のマニュアル作成例を参考にしながら、本市の実情に沿った手引書となるよう、早期の改訂に向けて取り組んでまいりたいと存じます。
次に、福祉避難所となる福祉施設等と災害時の受け入れ拠点・活動支援体制について、どのような取り決めが行われているのかについてでございますが、本市では、災害等が発生した場合、要援護者に対し、身体介護や健康相談などの日常生活に必要な生活支援を行うため、福祉避難所を設けることとしております。福祉避難所には、小学校の体育館やコミュニティセンターなどの指定避難所の中に、プライバシーの確保など一定の配慮をした区画を設ける指定避難所福祉エリアのほか、老人福祉施設協議会や障害者支援施設等と、災害時における要援護者の受け入れ等に係る協定を締結した協定福祉避難所などがございます。 協定におきましては、要援護者はまず、指定避難所に避難いたしますが、そこでの生活が困難な方は指定避難所福祉エリアに移動し、その中で特別な配慮が必要な方につきましては、関係機関と連絡調整を図りながら、協定福祉避難所への受け入れの支援を行うことなどを取り決めております。
次に、福祉避難所において、災害時に十分な人材確保は可能かについてでございますが、協定福祉避難所における要援護者の受け入れに際しましては、先ほどの要援護者の受け入れに係る協定において、介護者である家族等も受け入れ、家族等が支援を行うことや、関係事業所等と連携を図り、ホームヘルパーの訪問などにより支援を継続することも予定しているところでございます。
要援護者の避難生活を支援するために必要な人材の確保につきましては、御指摘のとおり、専門職を中心とした支援人材の確保が重要となるため、今後、福祉避難所の手引を改訂する中で、ボランティアの受け入れも含め、関係団体・事業所等との連携の確保に努めてまいりたいと存じます。
次に、避難者に必要な薬や、口から食事をとれなくなった方に対し、体外からチューブを用いて流動食を投与する、いわゆる経管栄養などの確保は、どのようにしていくのかについてでございますが、本市におきましては、被災時に要援護者自身が慢性疾患で常用している薬や介護用品など個人的に必要な物資について、当面必要な量を持参するように周知啓発をしているところでございます。要援護者が避難する際、薬を持参できなかった場合や、経管栄養が必要になった場合などの対応につきましては、現在、高松市薬剤師会との協議を始めているところでございまして、今後、要援護者の健康管理にも配慮した福祉避難所の運営に努めてまいりたいと存じます。
【市長】
災害時に障害者や高齢者を受け入れるため、ホテル等と提携する計画はあるのかについてであります。 手引書の改訂に当たりましては、内閣府が作成いたしました福祉避難所の確保・運営ガイドラインなどに基づくこととしており、そのガイドラインには、あらかじめ指定した福祉避難所のみでは量的に不足すると見込まれる場合は、公的宿泊施設・旅館・ホテル等と協定を締結し、借り上げるなど、事前に対応すると示されております。 本市におきましては、南海トラフ大地震等大規模災害が発生した場合、全ての要援護者を協定締結済みの福祉避難所において受け入れることは困難でございますことから、今後、福祉避難所として利用可能な施設を調査するなど、新たな福祉避難所の確保にも努めることとしているところでございます。 なお、御指摘の要援護者には含まれず、福祉避難所の受け入れ対象とならない方につきましては、先ほどからの答弁にありますように、指定避難所に一定の配慮がなされた福祉エリアにおいて対応することといたしております。その際、本市が締結をした災害時における福祉用具等の供給等協力に関する協定などに基づき、特殊寝台やマット・床ずれ防止用品等を供給し、対応することといたしております。 いずれにいたしましても、御質問にありますホテル等との提携につきましても、有効な対応方策と考えられますので、今後、要援護者支援に関する手引書の改訂を行う中で検討を行い、平常時から要援護者等の円滑な支援体制の構築に向け、取り組みを進めてまいりたいと存じます。
【健康福祉局長】
要援護者台帳の更新状況を、どのように管理しているのかについてでございますが、本市の災害時要援護者台帳は、高松市災害時要援護者支援に関する手引書に基づき、毎年1回更新を行うこととしており、新たに登録の対象者になられた方に対し、登録希望調査票を郵送しているところでございます。このうち、要援護者台帳の登録を希望された方につきましては、住所や身体状況などの情報を提供いただき、本市の台帳を更新するとともに、その副本につきましても更新を行い、コミュニティ協議会を初め、民生委員・児童委員や地区社会福祉協議会などに提供し、情報の共有を図っております。 しかしながら、既に要援護者台帳に登録済みの方の更新につきましては、平成23年度に更新して以降、本人や家族等からの申請による更新しか対応ができておりませんことから、現在、中核市を対象に要援護者台帳の登録率の向上や更新などに関する調査を行い、その調査結果を取りまとめているところでございます。 今後につきましては、この中核市の調査結果を参考としながら、その手法について検討してまいりたいと存じます。
【総務局長】
地域コミュニティ協議会等が実施する防災・避難訓練の際に、災害時要援護者に対して、何らかの配慮をするように促していく考えについてでございますが、本市では、地域コミュニティ協議会や自主防災組織のほか、地域住民・地域の各種機関・団体・民間事業者等が地域ぐるみで協力し、災害発生時の初動・応急対応や避難所運営訓練等、実践的な防災訓練を実施しているところでございます。これらの訓練では、一部地域で高齢者や障害者への対応は行われておりますものの、妊産婦・乳幼児などの災害時要援護者への対応は、御指摘にもございますように、行われていない状況でございます。 このようなことから、今後、地域コミュニティ協議会等が実施する防災訓練や避難訓練の機会などを捉えまして、地域内の災害時要援護者に対応した災害時の安否確認や避難誘導等の訓練を行えるよう、地域コミュニティ継続計画に要援護者支援に関する項目を盛り込むよう促すとともに、各地域コミュニティ協議会等に配慮していただくよう呼びかけてまいりたいと存じます。
【健康福祉局長】
高松市協働企画提案事業──個別避難支援計画の策定支援及び要援護者見守り検索機能マップの作成の具体的内容についてでございますが、この事業は、築地地区コミュニティ協議会をモデルとし、実効性のある避難支援を行えるよう、災害時要援護者台帳情報を取り入れた個別避難支援計画を策定するものでございます。 具体的には、インターネットに接続しないタブレット端末を使用して要援護者台帳の情報管理を行うとともに、その情報と地図情報とを結びつけ、要援護者の居住地等の情報がタブレットの地図上で表示されることで、迅速な避難支援等に活用しようとするものでございます。 また、事業の成果についてでございますが、要援護者情報を地図上に掲載させることで、情報の可視化が図られ、対象者の分布がよくわかるなど、地域の状況が把握しやすくなったと伺っております。 また、課題についてでございますが、地図を現状どおり加工するのに相当の労力と時間を要したこと、また、端末機器の導入に係る経費等が課題として挙げられております。 次に、同協働事業は、全市的に効果的なものなのかについてでございますが、この事業は、災害時要援護者台帳を活用した実効性ある支援が行われるよう、その手法の一方策として実施した事業でございまして、一定程度の効果があったものと存じております。 しかしながら、各地域における実情が異なっておりますことから、本事業が市内の全地域において効果的かどうかは、今後、さらなる精査が必要であるものと存じております。
【市長】
地域コミュニティ継続計画のうち、女性の積極的参画の例についての所見であります。 本市の地域コミュニティ継続計画作成ガイドでは、女性のプライバシー等の確保や男女共同参画の視点を取り入れた防災体制の確立について配慮するよう例示し、東日本大震災を教訓に、問題解決に至った事例も紹介をしているところでございます。 私といたしましては、地域の防災活動の取り組みの中で、女性の視点を取り入れた防災体制の確立が不可欠であるものと認識いたしておりまして、そのためには、ふだんから女性に防災訓練等の地域活動に参加していただくことが重要であります。 さらには、地域コミュニティ継続計画や防災活動等の計画を策定する際には、早い段階から女性に参画していただくことが必要であるものと存じております。 今後におきましては、多くの女性が地域における防災活動などに積極的かつ主体的にかかわれるよう、男女共同参画の観点からも、さらなる女性の参画を促してまいりたいと存じます。
【創造都市推進局長】
外国人住民に対して、災害発生時に備えた訓練が行われているのかでございますが、外国人住民の防災意識を高め、知識や技術を学んでいただくため、香川県及び公益財団法人 香川県国際交流協会におきまして、平成25年度から毎年、県内在住の外国人を対象とした防災訓練を実施しております。 また、留学生等を支援しております仏生山国際交流会が日本人との交流事業とあわせた防災訓練を実施しておりますほか、公益財団法人 高松市国際交流協会におきましても、今年度新たに本市在住の外国人を対象としたシミュレーション防災訓練を実施する予定としております。 また、訓練の具体的な内容についてでございますが、わかりやすい日本語に加え、英語などの通訳を通して避難場所の確認や、災害発生時を想定した避難所等の体験のほか、多言語での情報伝達訓練、応急手当ての方法や非常食体験などを実施しております。 項目1の答弁は、以上でございます。
【太田・再質問】
(3)について再質問をします。 ただいまの御答弁で、家族や介護者・ヘルパーさん等も一緒に福祉避難所に入れる。また、今後、ボランティアの受け入れを検討していくという趣旨の御答弁でしたが、質問でも触れたように、専門職の視点が非常に大切になります。例えば、ことし9月の県内の介護職の有効求人倍率が4.5倍と、その人材不足は明らかです。ほかにも、医師・看護師の方など、精神疾患を抱えた方には心のケアも大切となってきます。それらのことも加味して御答弁ください。現時点で、福祉避難所における十分な人材確保は可能ですか。
【健康福祉局長】
33番太田議員の再質問にお答え申し上げます。 災害対策のうち、福祉避難所において、災害時に十分な人材の確保は可能かについてでございますが、専門職の確保は現状では厳しい現状ではございますが、御指摘のとおり、専門職を中心とした支援人材の確保が重要となるため、今後、福祉避難所の手引を改訂する中で、ボランティアの受け入れも含め、関係団体・事業所等との連携をしながら、専門職の人材確保にも努めてまいりたいと思います。御理解を賜りたいと存じます。
【太田】
現在、高松市内の小中学校には、児童生徒をサポートするさまざまな体制が整いつつあります。スクールソーシャルワーカー・ハートアドバイザー・いじめ相談専門員・学校サポート委員会・スクールカウンセラーとサポート体制はさまざまです。子供をサポートする体制のうち、全中学校に組織されている学校サポート委員会についてお伺いします。 学校サポート委員会の設置の目的と達成状況、また、課題があればお示しください。 地域に開かれた学校として、地域の方と生徒の交流や、お互いに顔の見える関係をつくり上げていくのは大変有意義なことと思いますが、実際、中学生の子を持つ保護者としては、その実態が見えてこないのが現状です。今後、学校サポート委員会をどのような位置づけにしていくのか、方向性もあわせてお示しください。 さて、現在、高松市内の小中学校では、23名のスクールカウンセラーが小学校48校、中学校23校を受け持つ形で勤務しています。勤務形態は、1カ月に数回、決まった時間に学校を訪れ、児童生徒・保護者・教職員からの相談を受けるものです。多いカウンセラーでは、4中学校、3小学校の計7校を受け持っています。 相談内容は、不登校・いじめ・暴力行為・児童虐待・友人関係・家庭環境・教職員との関係・心身の健康等、多岐にわたります。 昨年度、スクールカウンセラーへの相談件数は、延べ人数で小学校では児童635件、保護者1,108件、教職員1,194件、その他区別をしていないもの152件。中学校では、こちらも延べ人数で生徒1,724件、保護者686件、教職員2,096件、その他区別をしていないもの254件と、教育現場においてスクールカウンセラーが生徒にとっても保護者や教職員にとっても欠かせない存在であることがわかります。 一方で、保護者からスクールカウンセラーへの相談は、事前に予約をしなければならず、問題が起こった直後の相談がしづらい、また、児童生徒においては、問題を抱えていても、どうしても相談室へ入りづらい状況という課題があります。 東京都では、スクールカウンセラーによる小学校5年生、中学校1年生、高等学校1年生を対象とした全員面接を2014年度から行っています。子供たちは、相談室に行くということに、先ほども述べたように、どうしても抵抗感があります。その抵抗感を減らしていくことが大きな目的です。教員に相談する、カウンセラーに相談する、親や友達に相談する、さまざまな形がありますが、その中で子供たちがカウンセラーの方と誰もが顔見知りで、いざというとき、みんながカウンセラーの部屋に行ったことがある、特別なことではなく、すぐに扉をたたけるという状況をつくり出すため、小中高と三つの学校種の中で行っています。 全員面接には、学校行事などとの兼ね合いもあり、数カ月、長くて半年以上かかる学校もあるようですが、子供たちの心のよりどころをつくっていくという点においては、非常に効果的な取り組みと考えます。また、全員面接を行う中で、特別にフォローアップ体制をとったほうがいいケースが洗い出されてくる効果もあります。 そこでお伺いします。 高松市において、スクールカウンセラーと児童生徒との全員面接を実施する考えについてお聞かせください。 また、一つの学校を複数のスクールカウンセラーが受け持っているとはいえ、生徒数の多い学校となると、児童生徒の情報量も多くなり、学校との連携にも気を使っていかなければなりません。そこで、スクールカウンセラーの増員を図る考えについてお聞かせください。 項目2の質問を終わります。
【教育長】
子供をサポートする体制のうち、学校サポート委員会の設置の目的と達成状況・課題についてであります。 本市では平成14年度より、市内の中学校において、いじめや少年非行などの生徒指導に関する地域ボランティアを募り、地域の教育力を生かしながら、児童生徒の健全育成を図ることを目的に、学校サポート委員会を設置しております。現在、警察職員、保護司、民生委員・児童委員を初めとした地域ボランティアで構成された学校サポート委員会は、市内全中学校で設置されており、学校における問題事例等を分析し、効果的な援助を行ったり、学校や地域での巡回指導など、学校の実情に応じて、さまざまな方法で活動していただいております。 学校サポート委員に授業参観や学校行事等に参加していただいたり、それぞれの地域の実態に応じた取り組みを行うなどにより、学校と地域がさらに密接な連携を図ることができるようになった、子供たちの健全育成についての地域全体の意識が高まってきたとの報告を受けており、一定の成果は達成しているものと認識いたしております。 学校サポート委員の見守りにより、学校では把握が難しい地域や家庭での児童生徒の様子を知ることができるようになりましたが、近年、児童生徒による問題行動は広域化・多様化しており、今後はさらに、警察や県子ども女性相談センター等の関係機関との機動性・実効性のある連携が課題であると認識いたしております。 次に、学校サポート委員会を、どのような位置づけにしていくのかについてであります。 児童生徒の非行の芽を早い段階で摘むことが重要であるという観点から、地域に根差した開かれた学校づくり、信頼される学校づくりに努め、学校と地域及び関係機関が強くつながることが大切であると考えております。そのためには、児童生徒のさまざまな問題行動に対し、学校サポート委員会を核として、学校と地域・関係機関の信頼関係に立った連携や積極的な情報交換を進めていく必要があると存じます。 教育委員会といたしましては、今後とも、地域の子供は地域で育てるという認識のもと、学校サポート委員会を積極的に活用し、地域の諸団体と連携するとともに、学校サポート委員会の機能も含めた高松型の学校・地域連携システムの構築も検討しながら、地域ぐるみで子供を見守り育てる活動を一層推進し、子供たちの健全育成に努めてまいりたいと存じます。 次に、スクールカウンセラーと児童生徒との全員面接を実施する考えについてであります。 本市では、暴力行為やいじめ・不登校等、生徒指導上の諸問題の対応のため、全小中学校と高松第一高等学校にスクールカウンセラーを配置しているところでございます。 各学校におきましては、学校だよりや教育相談だより等を通して、スクールカウンセラーの紹介をしたり教育相談日の周知を行っているほか、給食や休み時間などにおいてスクールカウンセラーが各学級を巡回し、児童生徒と接する時間を設けるなど、児童生徒が相談しやすい環境づくりに努めておりますことから、当該職員の勤務時間に占める相談時間の割合は高いものとなっております。 一方、学級担任を初め教員は、定期的に教育相談期間を設け、児童生徒一人一人と面談し、個別に対応する中で、スクールカウンセラーや他の教員への相談の希望があれば紹介しているところでございます。 お尋ねの、スクールカウンセラーと児童生徒との全員面接を実施する考えについてでございますが、子供たちの相談において、心理の専門家としてのスクールカウンセラーのかかわりは重要であると存じておりますが、教育相談は一義的には教員が児童生徒一人一人の状況を把握し、個別に対応していくものと存じております。 教育委員会といたしましては、学校規模や学校における個別の相談件数などが異なりますことから、全員面接を一律で実施することは困難かと存じますが、御質問の趣旨を踏まえ、教員の個別への対応に加え、今後、各学校の実情に応じて、全員面接や学年を特定しての全員面接等の工夫により、スクールカウンセラーが児童生徒にとって身近な存在となるよう指導してまいりたいと存じます。 次に、スクールカウンセラーの増員を図る考えについてであります。 現在、いじめ等の問題行動等に対応するため、中学校とその校区内の小学校に、県が国の補助事業としてスクールカウンセラー配置事業を実施しているところでございます。また、小学校の中で12学級以上の学校への配置事業は、別途、県と本市が協定を提携し、本年度は36校で実施しているところでございます。 お尋ねの、スクールカウンセラーの増員につきましては、今後、県教育委員会に要望してまいりたいと存じます。 項目2の答弁は、以上でございます。
【太田】
現在、高松市内には、上之町団地の建てかえに伴う仮住居を含む55の市営団地があり5,475名が生活をしています。 公営住宅法は、国及び地方公共団体が協力して、健康で文化的な生活を営むに足りる住居を整備し、これを住宅に困窮する低額所得者に対して低廉な家賃で賃貸し、国民生活の安定と社会福祉の増進に寄与することを目的とする法律で、高松市市営住宅も、この法律にのっとって運営・整備がなされています。 現在の入居者のうち、61歳から70歳の入居者が1,018名で全体の18.6%、71歳以上の入居者は1,395名で全体の25.5%を占めています。また、世帯構成別に入居者を見てみますと、ひとり世帯が最も多く、全体の51.6%に上ります。 これらのことをあわせて考えると、市営住宅の入居者の多くが高齢のひとり世帯である、また、今後、高齢のひとり世帯に移行していくということがわかります。市営住宅における孤独死は毎年度7件前後です。国民生活の安定と社会福祉の増進という本来の目的から最も遠いところで、誰にもみとられることなく、その生涯を閉じることとなった方々、貧困世帯がふえる現代社会において、住民のセーフティーネットという観点で、市営住宅について再考していかなければなりません。 現行の高松市市営住宅条例第15条第2項の第1号には、入居の際には連帯保証人2人が連署した請書を提出することとなっており、その連帯保証人については、同条例第17条において、市内に居住していることと定められています。いずれの項においても、市長がやむを得ないと認めるときはこの限りではないとの附帯がありますが、原則として連帯保証人は市内居住者の2名と定められています。 しかし、先ほど述べたように、現在、市営住宅の入居者の多くは、ひとり暮らしの高齢者です。また、近年、県外から移住してきた方の入居希望者もおり、高松市内で2名の連帯保証人を見つけることはハードルが高いと言わざるを得ません。 市営住宅入居時に2名の連帯保証人が必要な正当な理由と、市内在住者でならなければならない理由をお答えください。 また、高松市市営住宅条例第17条第1項に定められている、やむを得ないと認めるときの具体的な例をお答えください。 以上のことにより、市営住宅入居者の連帯保証人については1名とし、県外居住者も認めることが国民生活の安定と社会福祉の増進に寄与する目的により近づくものと考えます。 そこでお伺いします。 市営住宅入居者の連帯保証人の規定を見直していく考えについてお答えください。 昨年度決算において、市営住宅賃借料の調定額は8億3,045万5,419円、うち収入済額は5億9,288万1,748円、不納欠損額は61万2,250円、収入未済額は2億3,696万1,421円となっており、市の収入の重要な部分を占めていることがわかります。また、収入未済額や不納欠損額が依然、多額であることは看過できません。 本定例会の専決処分にも、市営住宅滞納使用料支払い請求に関する調停の申し立ての承認が6件提出されています。しかし、調停に持ち込む前に入居者の確実な賃借料納付が行われるように、例えば生活困窮者自立支援法に基づく家計相談支援事業を実施するなど、入居者の生活の安定を最優先に考えていくようにすべきと考えます。 生活困窮者自立支援法の対象者は、現在、生活保護を受給していないが、生活保護に至る可能性のある者で自立が見込まれる者とされています。新たな相談窓口が生活保護の水際作戦を担う防波堤として機能してしまうことや、生活困窮者が劣悪な労働に従事させられる危険性も伴う制度であるとの懸念はいまだ払拭されていませんが、生活保護の手前のセーフティーネットとして、きちんと制度を生かしていけば、大変有用な制度でもあります。 現在、高松市では、自立相談支援事業・就労準備支援事業・学習支援事業などを行っていますが、これらの生活困窮者自立支援法に基づく支援事業の効果についてお示しください。 また、今後、家計相談支援事業を取り入れる考えについてお聞かせください。 以上で項目3の質問を終わります。
【都市整備局長】
市営住宅のうち、市営住宅入居時に2名の連帯保証人が必要な正当な理由と、市内在住者でなければならない理由でございますが、連帯保証人には、入居者が住宅使用料等を滞納した場合の対応、住宅施設の保全に係る対応、さらには、入居者の緊急時における対応など、極めて重要な役割をお願いしておりますことから、入居要件の一つとして連帯保証人2名とすることを原則としているところでございます。 また、連帯保証人に対し、連帯保証債務の履行や緊急時の対応を求める必要が生じた際に、迅速かつ円滑に進めることができるなどの理由から、市内居住者であることを原則としているところでございます。 次に、高松市市営住宅条例第17条第1項に定められている、やむを得ないと認めるときの具体的な例でございますが、現在、本市では、入居予定者がその努力にもかかわらず、結果として連帯保証人が見つからないために入居が困難な状況にある場合には、やむを得ない事情と認め、市内居住の要件を緩和しているところでございます。 次に、市営住宅入居者の連帯保証人の規定を見直していく考えでございますが、公営住宅の役割が住宅に困窮する低所得者の居住の安定を図ることを目的としておりますことから、現行条例においても、入居予定者に十分配慮し、やむを得ない事情がある場合は、連帯保証人の人数や市内居住の要件の緩和を行っているところでございます。 さらに、入居予定者が生活保護受給者・DV被害者である場合のほか、用途廃止が予定されている市営住宅の入居者が他の市営住宅に移転する場合などで特別の事情があるときは、連帯保証人の連署の免除に係る取扱要領に基づき、連帯保証人の免除を行うなどの対応も行っておりまして、今後とも、きめ細かな対応に努めてまいりたいと存じます。
【健康福祉局長】
生活困窮者自立支援法に基づく支援事業の効果についてでございますが、本市では昨年度から、自立相談支援事業及び学習支援事業を高松市社会福祉協議会に、就労に必要な訓練を行う就労準備支援事業を公益財団法人に委託して事業を実施しているところでございます。 自立相談支援事業につきましては、自立相談支援センターたかまつを相談窓口として実施しておりまして、昨年度の新規相談件数は626件、うち就労支援プラン対象者は51名で、うち相談事業を通じてハローワーク等との連携により就労を開始した方は25名、新たな就労により収入が増加した方は13名となっております。 また、就労準備支援事業につきましては、昨年度の対象者は1名で、事業終了後に就労を開始いたしました。 また、学習支援事業につきましては、市内2カ所で学習支援教室を開設しておりまして、各教室とも毎回10人前後の生徒が参加し、熱心に学習をしているところでございます。昨年度、この教室に参加した中学3年生17名全員が今年度高等学校に進学したところでございまして、事業の効果が図られたものと存じます。 次に、家計相談支援事業を取り入れる考えでございますが、生活困窮者は失業や負債など、家計も含めた複合的な課題を抱えている場合も多くありますことから、現在、自立相談支援事業の中において、家計に関する相談につきましても、適宜、支援プランを作成し相談者みずからが家計を管理できるよう支援を行っているところでございます。 このようなことから、現在のところ、家計相談支援事業を実施する考えはございませんが、今後、経済情勢の変化に伴い、生活困窮者の生活状況が変動することも想定されますことから、先進地の事例や事業効果・課題について、適宜調査・確認してまいりたいと存じます。 項目3の答弁は、以上でございます。
【太田・再質問】
(3)について再質問します。 やむを得ない事情である場合は、運用の中で保証人の免除等を認めているという御答弁でした。 そもそも、上位法である公営住宅法や地方自治法に保証人に関する規定はありません。例えば、中核市47市中、保証人が1人で市内在住者は16市、うち6市は親族であれば県外でも可と明文化をしています。また、保証人が1人で居住の制限がない市は17市、2人で制限がない市は6市などとなっていて、市内在住者2名という、高松市と同じく一番縛りがきついのは47市中4市のみとなっています。運用の中で曖昧にしていくのではなく、他市のように明文化すべきではないでしょうか。以上、勘案して再度、連帯保証人の規定を見直していく考えについてお答えください。
【都市整備局長】
33番太田議員の再質問にお答え申し上げます。 市営住宅のうち、市営住宅入居者の連帯保証人の規定を見直していく考えでございますが、現行条例においても入居予定者に十分配慮し、やむを得ない事情がある場合は、連帯保証人の人数や市内居住者の要件の緩和を行っているところでございます。 さらに、入居予定者が生活保護受給者・DV被害者である場合などで特別な事情があるときは、連帯保証人の連署の免除に係る取扱要綱に基づき、連帯保証人の免除を行うなどの対応も行っておりまして、今後とも、入居予定者の個別事情を考慮したきめ細かな対応に努めてまいりたいと存じます。御理解を賜りたいと存じます。
【太田】
12月を迎え、春待ち遠しい季節となりました。今から来年度の入学の準備に期待を膨らませている子供たちもたくさんいることと思います。 12月1日現在、来年度高松市立小学校に入学予定の子供は約3,800名、中学校入学予定の子供は約4,000名です。 経済的な理由で子供の就学が困難な場合に、学校で必要な経費の一部を援助する就学援助制度には新入学児童生徒学用品費も含まれ、さきの9月定例会において、この支給を前倒しで行うことを検討していくとの答弁がありました。 今年度、新入学児童生徒学用品費等として支給された額は、小学生2万470円、中学生2万3,550円です。制服・体操服・通学用の靴や帽子・給食エプロン、小学生はランドセル、中学生は通学かばんとサブバッグ、部活で使うものの準備と入学準備に係る経費は高額です。 まず、質問の大前提として、高松市立小中学校において標準服の着用は児童生徒の自由で、制服として着用を強制するものではないという考えでよろしいでしょうか。 市立小中学校における費用負担の軽減について、市立小中学校における制服と体操服の定義について、それぞれお聞かせください。 着用は自由とはいえ、標準服を用意する家庭が99%以上を占めているのが現状です。そして、その金銭的な負担は決して軽いものではありません。 教育委員会では、標準服、いわゆる制服の学校別の金額を把握していないということで、独自調査を行いました。市内の大型量販店で扱っている同一学生服会社から販売されている標準服と体操服を学校ごとに比較したものです。販売店舗によって多少金額の差があることを御了承ください。 標準服については、市立小学校及び中学校間での差はほぼなく、サイズはいずれも130で、小学生男子の上着、折り襟7,430円、半ズボン2,786円、女子の上着、セーラー型1万2,420 円、ブレザー型1万1,988円、つりスカート6,264円。サイズはいずれも160で、中学生男子の詰め襟2万2,680円、スラックス8,100円、女子のセーラー服1万9,008円、スカート8,208円が平均的な相場となっています。 なお、この中に夏服は含まれていません。 注目すべきは体操服です。調査のできた学校の中で、小学校21校において、サイズはいずれも130で、長袖・長ズボン、半袖・半ズボンの体操服の合計が最も安価な学校は新番丁小学校の8,964円、最も高価な学校は太田小学校の1万4,904円と、その差は5,940円。中学校11校では、最も安価な学校は紫雲中学校の1万3,554円、最も高価な学校は屋島中学校の1万7,498円と、3,944円の差があります。特に中学生は、部活動などで半袖の体操服は1枚では足りないことも多く、さらにその差が開くことは容易に想像できます。標準服や体操服については、そのデザインや素材などをもとに衣料組合が価格を決めているそうです。 しかし、同じ高松市立の学校に義務教育で通うにもかかわらず、学校によって体操服の額に、これだけの差が生じているということは、保護者の金銭的負担の面から考えても公平性が保たれているとは思えません。 そこでお伺いします。 市立小中学校間における体操服価格差についての所見をお聞かせください。 入学準備品については、生活保護や就学援助の新入学学用品費等の枠ではカバーできず、また、所得制限でそれらの支援を受けていない家庭にとっても負担は大きいです。自校の卒業生に限らず、他校の児童生徒のお下がりやリサイクル品、市販のより安価なものを利用しやすくするなど、各家庭の判断で、より合理的に子供たちの学校活動のための衣服や通学かばん等も含めた学用品を整えられるよう、各学校で柔軟に対応することが今後求められる課題であると考えます。 また、アトピーなどの疾患を持った子供は、学校指定の体操服の素材によっては症状が悪化することもあります。 標準服や体操服については、各家庭の経済状況や子供の身体の状態に合わせた衣服の着用を推進していく考えについてお聞かせください。 さらに、学校に入学後も月々多くの自己負担の費用がかかります。特に小学校において、授業で数回しか使わない教材を購入しなければならない場面が多々あります。その代表格が算数セットです。低学年の間しか使わず、それもほんの数回です。全く使わずに年度末を迎えてしまうセット品もあります。算数セットの基本的な内容は、おはじき・お金・数え棒・数字カード・積み木・時計などです。 名古屋市では、学校によって扱いは違いますが、多くの学校で備品方式を採用しています。一括で購入後、学校で保管、授業に必要なものを児童に貸し出すという方式です。1学年全員分購入しなくても、クラス数の少ない学校であれば、算数の授業の時間をずらすことで1クラス分で全ての児童が使用することも可能です。古くなったり壊れたりしたものは、その都度買いかえるそうですが、次の新入生もまた使うという意識が児童の中に芽生え、自然と扱いが丁寧になると聞きました。 そこでお伺いいたします。 費用面や名前つけなど、保護者にも負担の大きい算数セットを備品として各小学校に配備する考えについてお答えください。 以上で項目4の質問を終わります。
【教育長】
市立小中学校における費用負担の軽減のうち、市立小中学校における制服と体操服の定義についてであります。 本市では、男木小中学校を除く全ての学校がそれぞれの標準服を採用しており、標準服は学校での着用の基準として示され、その形や素材等には一定の自由度が認められた服装であると認識いたしております。 一方、男木小中学校におきましては、学校再開時に地域や保護者の代表と学校が協議する過程で、学校の特色を出したいという保護者からの意向を受け、制服としており、制服は学校で着用するよう定められた服装であると認識いたしております。 また、体操服につきましては、児童生徒の体育活動にふさわしいものとして、標準服と同様に学校での着用の基準として示され、一定の自由度が認められた服装であると認識いたしております。
【市長】
市立小中学校間における体操服価格差についての所見であります。 小中学校の体操服につきましては、各学校と保護者が協議して決定していると伺っておりまして、御指摘のとおり、業者やデザイン、使用する素材等の違いにより価格差が生じているものと認識いたしております。 いずれにいたしましても、保護者の金銭的負担を考慮いたしますと、体操服の価格は合理的な範囲で、できるだけ低廉で、価格差につきましては、学校間の差が余り大きくならないことが望ましいものと存じます。
【教育長】
標準服や体操服については、各家庭の経済状況や子供の身体の状態に合わせた衣服の着用を推進していく考えについてであります。 これまでも標準服や体操服につきましては、学校においてPTA活動の一環として、家庭で不要になったものの交換会を行ったり、バザー等で活用するなど、保護者の求めに応じた対応ができるよう工夫しているところでございます。その着用に際しては、各学校におきまして、家庭の状況や子供の健康状態等に配慮するとともに、転校した場合も、転校前の学校の体操服を認めるなど、既に柔軟な対応をしているものと認識いたしております。 教育委員会といたしましては、今後とも標準服や体操服の着用につきましては、各学校に対し、個々の子供の健康状態や個別の事情を考慮し、柔軟に対応するよう周知してまいりたいと存じます。 次に、算数セットを備品として各小学校に配備する考えについてであります。 算数セットに含まれる数え棒や時計などの教具につきましては、主として小学校1・2年生において、足し算や引き算などの計算や時間の概念を学ぶ学習などで児童一人一人が個別に活用しており、具体物を通した理解や数量認識を培う上で重要だと認識いたしております。各小学校におきましては、セットでの購入だけでなく、使用頻度の高い教具だけを選んでの購入ができるよう配慮するほか、兄弟で共有することも可能とするなど、柔軟に対応しているところでございます。 お尋ねの、算数セットを備品として配備することにつきましては、各教具が個人的・個別的に利用されていますことや、教具の耐久性の面等、総合的に判断いたしまして、原則的には各家庭での負担とさせていただきたいと存じますが、個人的に頻繁に使用する教具以外は学校で取りそろえているところもありますことから、そうした柔軟な対応について各小学校に周知してまいりたいと存じます。 項目4の答弁は、以上でございます。
【太田・再質問】
(3)について再質問をいたします。 標準服に準拠して、家庭の状況や健康の状態に合わせたものの着用に柔軟に対応しているとのことでした。 地域の小さな衣料店を潰すつもりは毛頭ありませんが、例えば入学周知会で標準服取扱店一覧表などが配付されると、どうしてもそこで扱っている統一したものを買わなければならないと思い込んでしまいます。必ずしも標準服を着用する必要はないなどの一言を書き添えるなどの配慮が必要ですが、教育長がおっしゃられた現在の柔軟な対応、また、各学校に今後周知していくから、もう一歩踏み込んだ具体的な御答弁をお願いします。 標準服や体操服については、家庭の状況や子供の身体の状況に合わせた衣服の着用を推進していく考えについてお聞かせください。
【教育長】
33番太田議員の再質問にお答え申し上げます。 市立小中学校における費用負担の軽減のうち、標準服や体操服については、各家庭の経済状況や子供の身体の状態に合わせた衣服の着用を推進していく考えについてであります。 標準服や体操服の着用に際しては、各学校におきまして、家庭の状況や子供の健康状態に配慮し、既に柔軟な対応をしているものと認識いたしております。 教育委員会といたしましては、今後とも、標準服や体操服の着用につきましては、各学校がPTAなどとも相談し、個々の子供の健康状態や個別の事情を考慮して柔軟に対応するよう周知してまいりたいと存じます。
【太田】
最後の質問に移ります。 現在、常磐町商店街内の常磐会館OPA跡にボートピアを含む複合施設の計画があります。常磐町商店街のにぎわいづくりのためには、集客力のあるボートピア誘致しかないと、誘致に向けて着々と進んでいるようです。 さて、9月14日に本市に対して、一般財団法人 ボートレース振興会と主催団体が常磐町商店街におけるボートピア開設に向けた正式な申し入れがあったとお聞きしました。そして、11月3日に開催された常磐興業株式会社主催のボートピア誘致の事業説明会では、ボートピアの主催団体となる株式会社 フューチャー社長の安田氏は、9月中旬、高松市からもボートピア推進の誘致活動をしてもよいという返事をもらったと述べていました。 本市への申し入れについては、誘致を進めるに当たって前向きに捉えている感じがいたしました。しかし、ボートピアが設置されれば、教育環境や生活環境の悪化に加え、ギャンブル依存への懸念、交通量の多い同所付近での一層の混雑による事故の増大などが懸念されます。 そこでお伺いしますが、9月14日にボートピア開設に向けた申し入れがあったことを受け、現段階における誘致に対する考えをお聞かせください。 以上で項目5の質問を終わります。
【市長】
ボートピア誘致に関し、ボートピア開設に向けた申し入れがあったことを受け、現段階における誘致に対する考えについてであります。 本年9月14日に、一般財団法人 ボートレース振興会などが市内においてボートピア開設に向けた活動を着手するに当たり、本市の自治会担当部署に来訪されました。来訪の目的は、ボートピアを設置する場合には、まずは、地元同意の一つとして、所在地の自治会の同意が必要となるため、設置予定地の地元自治会が高松常磐町商店街振興組合自治会であることの事実確認でございました。 御質問にありますような、本市が誘致活動の推進について、それを受諾したというような事実はなく、この点について誤った説明がなされているのであれば、まことに遺憾に存じます。 本市にとりまして、中心市街地の拠点の一つである南部3町商店街のまちづくりは、重要な課題でありますが、設置予定地近辺には周辺の小中学校の通学路があるとともに、瓦町駅を利用する高校生を初め、多くの青少年が通学や買い物等で往来しており、健全育成の観点から補導の重点箇所になっている地域でもございます。また、病院やハローワークなど公共施設も近くにあることや、昨年10月の瓦町FLAGのオープン以来、若い親子連れの姿も多く見られるようになっております。そのような場所へボートピアを誘致することに対しましては、さまざまな意見や多くの課題・懸念があるものと存じます。 本市といたしましては、このような状況を十分に勘案する中で、慎重に対処してまいりたいと存じます。 項目5の答弁は、以上でございます。