2016年6月定例会 伊方原発の再稼働の再考と新規制基準の見直し及び実効性のある避難計画を求める意見書 趣旨弁明
提出者を代表しまして、議員提出議案第4号伊方原発の再稼働の再考と新規制基準の見直し及び実効性のある避難計画を求める意見書について趣旨弁明を行います。 4月14日の夜及び16日の未明に発生した熊本地震は、2カ月以上たった今も、震度4クラスの余震が起こっており、気象庁の発表では、6月12日までに震度1以上の有感地震は、熊本県及び大分県で1,700回を超しています。また、6月17日には、函館で震度6弱、18日には茨城県、20日には広島県北部で、それぞれ震度3の揺れを観測しています。日本列島では今、地震活動が活発化しています。 そして、伊方原発の5キロメートル先には、日本最大級の活断層──中央構造線が走っています。伊方原発は、佐田岬半島のつけ根に位置し、原発より西には約1万人の人々がミカン営農や漁業をなりわいとして、脈々と続いてきた生活を送っています。 私は、先日、佐田岬半島の小さな集落を幾つか訪ね歩きました。緑泥片岩という、もろく平らな岩を積み重ねた岩層の上に民家が建っていました。急峻な斜面は、私でも歩いて上ると一気に汗が吹き出しました。出会った方の多くが高齢者でした。 原発は動かさんとってほしい。この間の熊本の地震でここら辺も揺れたんよ、どうなるかと思った。地震や津波が起きて、この坂上って逃げれると思う。ミカン畑で作業中の女性の言葉が胸に刺さりました。 高松市は、伊方原発から直線距離で約185キロメートル離れた場所に位置します。福島第一原子力発電所の事故において、環境相が指定した放射性物質汚染対策特措法に基づく汚染状況重点調査地域は、福島第一原発から200キロメートル以上離れた埼玉県三郷市・吉川市、千葉県松戸市・流山市・鎌ケ谷市などを初め、関東から東北にかけて102の自治体に上ります。一たび、伊方原発で福島第一原発と同等の事故が起これば、私たちの住む高松市もまた、汚染地域となり得る可能性が大いにあるのです。 海に流れ続ける汚染水、凍らない凍土壁、戻れないふるさと、汚染地域に残された動物たち、高く積み上げられた何万というフレコンバックの山々。私たちは、福島の原発事故で多くのことを学んだはずです。 また、大津地裁では、今月、高浜原子力発電所3・4号機をめぐり、福島第一原発事故について、原因究明ができたと認められないとした上で、国の新規制基準での審査に合格をしただけで安全性が確保されないと指摘し、関西電力に対して運転差しとめの仮処分決定執行停止の申し立てを却下する決定をしました。 本意見書は、これらのことを踏まえて、次の3点を強く要望するものです。 1、伊方原発の3号機の再稼働については、再考すること。 2、原子力規制委員会がまとめた新規制基準に、30キロメートル以上離れているエリアの住民が重大な影響を受ける可能性が高い周辺自治体の同意を盛り込むこと。 3、国においては、原子力事故による放射能被害等、苛酷事故の広範囲に及ぼす影響に鑑み、周辺自治体を含めた実効性のある避難計画を策定すること。 私たちは、同じ過ちを繰り返してはなりません。今、地震が多発する時期に、伊方原発を再び動かすことが本当に正しいことなのか、もう一度立ちどまって考えるべきです。 以上で趣旨弁明は終わりますが、何万人、何十万人の命の重みを背負った皆様の御賛同をお願いいたします。