2021年6月定例会 一般質問
【太田】大項目の1は、図書館利用情報の扱いについて伺います。
北海道苫小牧市の市立中央図書館で、ある利用者が借りていた本の書名や予約状況を、北海道警苫小牧署に提供していたことが2018年に明るみに出て、札幌弁護士会が令状なしの照会に応じないよう図書館に求めました。また、同年沖縄県でも、三つの市立図書館が裁判所の令状のないまま、警察に利用者の住所・氏名・生年月日・貸出冊数などの個人情報を提供していたことが分かっています。そもそも警察が捜査を進める上で被疑者の住居に立ち入ったり所有物を差し押さえたりするためには、捜索差押許可状などの令状が必要になります。これは戦前の反省に基づき、不当な人権侵害を防止するため、こうした強制処分は裁判官が判断・承認して発する令状により行うべきことを憲法が要求していることに基づくものです。
図書館は言わずもがな市民の学習権・知る権利を保障し、表現の自由、学問の自由や思想・信条の自由を支える公共の場です。その場で利用者がどんな本を読んでいるかなどを警察や国家権力に知られるおそれがあれば、利用者は萎縮しかねません。日本図書館協会の図書館の自由に関する宣言は、どこの公立図書館でも掲げられている重要な文書です。この第3項で、図書館は利用者の秘密を守ると明快に宣言しています。この宣言に基づき、日本図書館協会のホームページには捜査機関から照会があったときというページに、憲法第35条に基づく令状を確認した場合以外は利用者の読書事実を外部に漏らさないという令状主義原則が170行にわたって解説されています。国立国会図書館では、1995年の地下鉄サリン事件のときでさえ、令状のない任意捜査では利用者の情報提供を拒み、2019年には国立国会図書館では令状なしの利用履歴の提供に応じたことはなく、今後も同様であると国会で答弁しています。
ところが、事前の調査で高松市立図書館において、今年5月28日付で高松南署からの令状なしの捜査関係事項照会書に基づき、利用者コード・最終利用日・電話番号などの利用者情報を提供していたことが分かりました。利用場所及び利用日時・利用の際に借りた書籍名についても照会がありましたが、システム上返却済みの図書については利用履歴が削除されるため不明であり、情報の提供はしなかったとのことです。
この個人情報の提供は、憲法第35条の令状主義に反していますが、本市の考えと情報提供の判断に至った経緯についてお答えください。
高松市立図書館において、警察からの照会による対応基準はありますか。
また、このケース以外に、これまで市立図書館で警察の照会に対応した件数は何件ありますか。
日本図書館協会が示しているとおり、個人情報の提供は令状主義に基づくべきと考えます。高松市立図書館においては、警察からの照会に対するマニュアルは現在ないと伺っていますが、令状に基づかない情報提供をしないために、日本図書館協会のホームページも参考にマニュアルの策定をすべきと考えますが、見解を求めます。
【教育長】37番太田議員の御質問にお答え申し上げます。
図書館利用情報の扱いのうち、図書館における警察への個人情報の提供は、憲法第35条の令状主義に反しているが、本市の考えと、情報提供の判断に至った経緯についてであります。
本市図書館の利用者情報には、利用者の氏名や住所・図書の貸出し履歴などの個人情報がございますが、そのうち図書の貸出し履歴については利用者の思想・信条を推しはかって知り得るものであり、その取扱いには特に配慮を要するものでありますことから、本市の図書館システムにおいては、履歴が残らないように設定しているところでございます。
また、公益財団法人 日本図書館協会の図書館の自由に関する宣言において、図書館は利用者の秘密を守るため令状が確認できない場合は利用者の読書事実を外部に漏らさないことを原則としており、本市図書館におきましても宣言に沿った取扱いを基本としているところでございます。
このたび高松南署から提出されました刑事訴訟法第197条第2項による捜査関係事項照会書の内容は、人命に関わる重大事件の案件でありましたことから、緊急かつやむを得ない必要があると判断し、高松市個人情報保護条例第11条の規定に基づき、図書の貸出し履歴を除く住所・氏名等を情報提供したものでございます。
【教育局長】高松市立図書館において、警察からの照会による対応基準はあるのかについてでございますが、本市図書館に警察から照会があった場合は図書館の自由に関する宣言及び高松市個人情報保護条例に基づき総合的に判断し対応しているものでございます。
次に、これまで市立図書館で警察の照会に対応した件数についてでございますが、本市図書館におきましては、これまでに2件の警察の照会に対応いたしました。
次に、高松市立図書館において、令状に基づかない情報提供をしないために、マニュアルの策定を行う考えについてでございますが、本市図書館が有する利用者情報には基本的人権の侵害につながるおそれのある思想・信条に関する事項が含まれますことから、その情報提供については、今後も原則、裁判所の判断を経て情報提供を求められた場合に対応することを明確にするために、要領の作成を検討してまいりたいと存じます。
項目1の答弁は、以上でございます。
【太田】(1)について再質問を行います。
ただいまの答弁で人命に関わる重大事件であったため情報提供を行ったとのことですが、本文中で触れたとおり国立国会図書館では地下鉄サリン事件のときでさえ、令状のない任意捜査には応じていません。公務員には憲法尊重擁護義務があり、令状が1日ないし2日で取れることを考えても今回の対応は憲法第35条の令状主義に反していると考えますが、改めて本市の考えについてお答えください。
【教育長】37番太田議員の再質問にお答え申し上げます。
図書館利用情報の扱いのうち、図書館における警察への個人情報の提供は、憲法第35条の令状主義に反しているが、本市の考えと、情報提供の判断に至った経緯についてであります。
公益財団法人 日本図書館協会の図書館の自由に関する宣言において、図書館は利用者の秘密を守るため令状が確認できない場合は利用者の読書事実を外部に漏らさないことを原則としており、本市図書館におきましても宣言に沿った取扱いを基本としているところでございます。
このたび高松南署から提出されました刑事訴訟法第197条第2項による捜査関係事項照会書の内容は、人命に関わる重大事件の案件でありましたことから、緊急かつやむを得ない必要があると判断し、高松市個人情報保護条例第11条の規定に基づき、図書の貸出し履歴を除く住所・氏名等を情報提供したものでございます。
【太田】大項目の2は、避難行動要支援者について伺います。
今年4月、今後、起こると想定される大規模災害に対し要支援者である当事者が感じている様々な不安に寄り添い、その実情に応じた対策の実現を目的とし、有志団体 災害弱者安心ネットワーク高松が設立されました。災害弱者安心ネットワーク高松では、高松市を中心に、在宅で暮らしている要支援障害者を対象に、防災に関するアンケート調査を行いました。このアンケートについては、市の関係者及び各議員にも配付されており、目を通された方も多いかと思います。
このアンケート結果の全体の感想としては、本市が行っている障害者をはじめとする災害時要支援者の防災についての様々な施策が、当事者に届いていないというのが第1印象です。さらに、個別避難支援計画の作成率の低さが当面の課題であると感じました。障害者・高齢者・妊婦や子供、いわゆる災害弱者──災害時要配慮者の避難については、これまで多数の議員が議会の質問でも取り上げてきました。
まずは、日頃の備えを行うため、避難所開設者が平時から要支援者が必要としていることを把握することが必要であると考えます。地域コミュニティ協議会が主体となって行う防災訓練には、自治会に入っていない障害者や高齢者は防災訓練があることすら知らされず、ますます地域の中で孤立していることがあります。地域の防災訓練に積極的に当事者が参加することで、避難所開設者にとっても見落としがちな段差や避難経路の中の危険箇所に気づくことができます。
そこで、自治会に入っていない障害者や高齢者が、防災訓練に積極的に参加できる取組について伺います。
もう一点は、実効性のある個別避難支援計画の作成を進めていくことが重要です。今年、災害対策基本法等の一部を改正する法律案が閣議決定されました。改正法では、災害時における円滑かつ迅速な避難の確保のため、個別避難計画の作成について取組の充実が求められることとなり、市町村に作成が努力義務として課せられました。個別避難支援計画の前段である避難行動要支援者名簿には、避難支援者について記載をすることとなっていますが、近所に顔見知りの人やお願いできる人がいない場合、民生委員等を指名することになり、結果として1人の民生委員が10人ほどの避難支援者になっていたり、支援者を指定できていないケースもあると聞いています。
名簿の更新は毎年行っていますが、こうしたケースは市で把握できていますか。また、そういった場合どのような対応をしていますか、お答えください。
さらに、これまで個別避難計画の作成が進んでいない要因についてどのように考えていますか、お答えください。
作成を進めるためには、行政が積極的に当事者との対話を重ねていくべきと考えますが、災害弱者安心ネットワーク高松や、ほかの障害者団体と当事者の意見を聞く機会を増やしていく考えについてお答えください。
高松市では、避難行動要支援者名簿を地域の自治会や自主防災組織・民生委員などの協力関係者に提供し、平時の見守りや災害時の避難支援・安否確認などに役立ててもらうとしていますが、名簿登録を拒む方の中には、個人情報が見ず知らずの人の手に渡ることに不安を感じている方もいます。
昨年の本市における避難行動要支援者名簿の新規登録対象者の数は4,274名、うち登録希望者は557名、登録を希望しないと回答した方は1,984名、残り1,733名は未回答となっています。登録を希望されない方は家族の支援を受けることができる、自分で避難が可能である、施設に入所している等の理由が多いですが、中には個人情報が他人に渡ることへの危機感から登録を拒む方や回答しなかった方もおられるのではないでしょうか。
個人情報について安心して名簿登録をしていただく必要がありますが、平時から関係者への避難行動要支援者名簿情報の提供を行うために、要支援者にどのように個人情報についての安心感を持っていただくのか、本市の考えをお聞かせください。
さて、本市では避難行動要支援者の定義の中に難病患者が含まれていません。難病患者は生命維持に必要な薬剤や人工呼吸器等の医療機器を必要とするなど、医療支援を必要とする場合が多く、災害時には避難をためらう方や避難所で適切な医療支援が受けられないケースもあります。したがって、避難行動要支援者名簿の対象として難病患者を取り上げて記載されることが望ましいと考えます。避難行動要支援者名簿登録対象者に難病患者を含む考えについてお答えください。
さらに、精神的な疾患を抱えている方は、適切な薬の服用やパニックを起こさないための対応が必要になります。本市では、これまで消防局におけるコミュニケーション支援ボードを作成してきましたが、避難所でも使用できる障害者向けのコミュニケーション支援ボードを作成する考えについてお聞かせください。この支援ボードは、聴覚障害・精神疾患・発話が困難な方などにとっては、大切なツールであると考えます。そして、これからの出水期に当たり、きめ細やかな避難への備えが求められます。
【消防局長】避難行動要支援者のうち、自治会に入っていない障害者や高齢者が、防災訓練に積極的に参加する取組についてでございますが、災害発生時等に自ら避難することが困難で、特に支援を要する方には、あらかじめ避難行動要支援者名簿に登録していただき、関係課が名簿を保管するとともに、地域コミュニティ協議会等にも名簿を提供しているところでございます。
このような中、一部の自主防災組織等においては、この名簿を活用し支援の必要な方の把握や避難支援等の検討に役立てているところでございます。しかしながら、全ての自主防災組織等においてこのような取組が行われているわけではなく、自治会に入っていない障害者や高齢者が訓練に参加できていない状況もございます。
消防局といたしましては、自主防災組織等の関係機関が名簿を活用し、事前に支援を要する方の把握や避難対策を検討することは重要であると存じますことから、自治会加入の有無にかかわらず、要支援者への訓練参加の働きかけや避難支援の取組が進められるよう、防災訓練の企画時などの機会を捉えて周知啓発に努めてまいりたいと存じます。
【健康福祉局長】避難行動要支援者名簿において、支援者が多くの要支援者を抱えていたり、支援者を指定できていないケースを把握できているのかについてでございますが、本市では避難行動要支援者名簿への登録を希望される場合、原則御本人で避難支援者を選定いただくようお願いしているところでございます。
しかしながら、御指摘いただきましたように避難支援者の確保が課題となっているところでございまして、昨年10月の名簿更新時の調査では複数の要支援者を受け持つ避難支援者が全体で約23%、避難支援者を選定していない方が約30%となっているところでございます。
また、その対応についてでございますが、本市ではこれまで地域で開催される防災研修や名簿登録制度に関する説明会の場において、コミュニティ協議会など、地域支援組織に対し地域全体で適切な避難支援者の選定に努めていただくようお願いしてきたところでございます。
災害時の避難行動を円滑かつ安全に進めるためには、要支援者の特性や地域の実情を把握した方を避難支援者に選定する必要がございますことから、今後におきましても地域支援組織に対し、毎年の名簿の更新時に適切な要支援者が選定できているかどうかを改めて確認していただくとともに、避難支援者が選定されていない場合には、災害時に協力を得られる方を募るなど、地域全体で支援できる体制を整えていただくようお願いしてまいりたいと存じます。
次に、個別避難計画の作成が進んでいない要因についてでございますが、本市におきましては、避難行動要支援者名簿に登録された要支援者を対象として地域コミュニティ協議会など、地域支援組織に個別避難計画の作成をお願いしているところでございます。
この個別避難計画には、避難経路や避難の手順など、有事の際避難するために必要な情報を整理する必要がございますことから、本市ではこれまで要支援者はもとより、実際に避難支援を行う支援者や地域支援組織が連携しながら個別避難計画を作成する取組を進めてきたところでございます。
しかしながら、市内の多くの地域では計画作成の必要性の認識はあるものの、作成の手順が整理されていないことに加え、当事者である要支援者を交えた計画作成に向けて話合いの場が持たれていないことなどが計画作成が進んでいない要因の一つになっているものと存じます。
次に、個別避難計画の作成について、当事者の意見を聞く機会を増やしていく考えについてでございますが、御質問にもございますとおり、個別避難計画の作成に当たりましては、要支援者や支援団体の方の御意見をお伺いし、それぞれの要支援者に適した個別避難計画を作成することが円滑な避難行動のために大変重要であるものと存じております。
このようなことから、本市では、これまで各種会議や研修会などを通じ、要支援者やその御家族、相談支援専門員などの支援者を対象に、本市の災害支援の取組などを説明する中で個別避難計画の作成に係る御意見や御要望などをお伺いしてきたところでございます。
また、昨年度からは要支援者の状態に応じた避難支援の在り方を検討する高松圏域自立支援協議会の災害時ワーキンググループに本市職員も参画し、当事者や相談支援専門員などの福祉関係者との意見交換を行い、医療的ケアが必要な在宅の要支援者の計画作成を進めているところでございます。
今後におきましても、要支援者やその方々を支援する団体との連携を密にし、直接御意見等をお伺いする機会を増やす中で、より実効性のある個別避難計画の作成に向けた検討を進めてまいりたいと存じます。
次に、平時から、関係者への避難行動要支援者名簿情報の提供を行うため、個人情報の提供について、要支援者にどのように安心感を持ってもらうのかについてでございますが、本市では有事の際、要支援者の迅速かつ安全な避難に結びつけるため実際に避難支援を行う地域コミュニティ協議会などの地域支援組織に対し、避難行動要支援者名簿を提供しているところでございます。
この名簿情報の取扱いに関しましては、平時の見守りを含め、要支援者に対する支援の目的においてのみ使用することや名簿に記載された個人情報を厳重に管理すること、さらには知り得た秘密は外部に漏らさないことなどを、地域支援組織と誓約書を交わした上で運用しているところでございます。
今後におきましても、毎年更新後の名簿を地域支援組織に提供する際には、個人情報の取扱いには十分注意いただくよう改めてお願いするとともに、個人情報の取扱いに不安を抱える要支援者の方には、このような慎重な取扱いの下、適切な運用を行っていることを丁寧に説明する中で安心して名簿登録していただけるよう、さらなる制度の周知啓発に努めてまいりたいと存じます。
次に、避難行動要支援者名簿登録対象者に難病患者を含む考えについてでございますが、難病患者の情報は特定医療費の支給認定を行う県が管理しておりますことに加え、指定難病等が361と多岐にわたり症状も様々でありますことから、本市では難病患者であることのみをもって一律に名簿登録対象者とはしておらず、難病患者が認定を受けて利用することができる障害福祉サービスの支援区分を一つの登録条件として、その支援区分の3から6に相当する方を名簿登録対象者といたしております。
このような中、本年5月の災害対策基本法の一部改正により、個別避難計画の作成が市の努力義務となり、併せて改定された避難行動要支援者の避難行動支援に関する取組指針におきましては、難病患者等の情報を、県と市との間で情報共有する仕組みを構築し、個別避難計画の作成対象から外れることのないよう努めることが示されたところでございます。
このようなことから、本市といたしましては今後、県に対し難病患者に係る情報提供を求めてまいりますとともに、難病患者を名簿登録対象者の要件として明記し追加することについて検討してまいりたいと存じます。
次に、避難所で使用できる障害者向けのコミュニケーション支援ボードを作成する考えについてでございますが、御提案のありました避難所で聴覚障害や精神疾患を抱える方などに応対する際、コミュニケーション支援ボードを作成して活用することは、的確なコミュニケーションを図る上で大変有効な手法であるものと存じます。
このようなことから、今後、他都市の先進事例を参考にするとともに、災害弱者安心ネットワーク高松などの関係団体や高松市障害者施策推進懇談会の御意見も伺いながら、避難所で使用できる障害者向けの支援ボードの作成に向けて準備を進めてまいりたいと存じます。
項目2の答弁は、以上でございます。
【太田】大項目の3は、マンションとまちづくりについて伺います。
民間の調査によると、香川県における2020年のマンション化率──全世帯に占める分譲マンション戸数の割合は6.53%です。四国ではほかの3県が3%台なので、四国の中では最も高く、中国・九州地方合わせても福岡県・広島県に次いで高い率です。
今、都会のマンションの多くは、建物の老朽化と居住者の高齢化という二つの老いに直面しています。この課題に対応するため、2020年6月老朽化したマンションの修繕などを促進する改正マンション管理適正化法と改正マンション建替円滑化法が成立しました。これにより、マンション管理の適正化に向けて行政の役割が強化され、市や区などにマンション管理適正化推進計画を作成することが期待されています。
東京都や神戸市では、これに先立ってマンションの管理組合等から管理状況に関する事項を届けてもらう管理状況届出制度を開始しています。本市において、大量のマンションの老朽化問題が顕著になるのは数十年後になるかと思いますが、マンション管理の適正化に向けては行政が先手を打ちしっかりと動いていく必要があります。
昨年9月定例会で、市長は住生活基本計画に関しマンション管理の適正化や市営住宅の在り方の検討など、総合的な住宅施策の推進に取り組んでいく必要があると答弁されています。また、本市が昨年3月に制定した豊かな住まいづくり条例には、住宅の適正な管理を定めています。
そこでお伺いしますが、マンションの管理の適正化の推進に関する法律の改正を受け、マンション管理適正化推進計画を策定する考えについてお答えください。
現在、林立するマンションは、ハザードマップを重ね合わせると、津波浸水深が2メートルから3メートルと想定されている地域があります。津波浸水深が3メートルであれば、ビル等の建物に避難する場合の目安として、3階以上に避難することが望ましいとされています。指定避難場所や津波避難ビルとされているコミュニティセンターは2階建ての建物が多く、また、民間の施設は海の近くにあり、住民が海側に向かっていくことになり避難に危険を伴うことも予測されます。
マンションによっては、独自にガスや上水貯水槽など、生活インフラを確保しているところもあり、遠くの津波避難ビルより近くのマンションのほうが安心して一時的に避難できる人は多いと考えます。もちろん居住者や所有者との協議は必要ですが、検討される余地は大いにあるものと考えます。
そこで伺います。
マンションを津波避難ビルとして指定することを検討する考えについてお答えください。また、マンション側から津波避難ビルとしての活用が提案された場合の対応についてお答えください。
新築マンションが増えるということは、単純に考えると、もう一方で空きマンションや老朽化した戸建て住宅が増加していると考えられます。数十年後を見据えたマンション適正化の施策と併せて、現在、増え続けている中古住宅・空き家施策を兼ね合わせて本市のまちづくりを進めていく必要があります。直近の2018年住宅・土地統計調査では、香川県の空き家率は18.1%で全国で8番目の高さになっています。
このようなことから、新築マンション・空きマンション・空き家・中古住宅・さらには居住誘導区域や人口構造の変化という事柄が複雑に絡み合う本市の住宅政策に関し、目指していくまちづくりについてお答えください。
【大西市長】 マンションとまちづくりのうち、マンションの管理の適正化の推進に関する法律の改正を受け、マンション管理適正化推進計画を策定する考えについてであります。
昨年6月に公布されたマンションの管理の適正化の推進に関する法律では、今後、急増してくるマンションの修繕や維持管理に向けまして、国が定める基本方針に基づき、地方公共団体においてマンション管理適正化推進計画の策定ができることなど、行政の役割の強化がその柱として記されております。
本市におきましても、約400棟の分譲マンションが立地しており、今後、適正な管理体制の下で計画的な修繕や維持管理が円滑に行われる枠組みを整えていく必要があるものと存じます。
このような中、本市では空き家等の利活用やマンション管理の適正化などの施策を体系的に位置づけた住宅施策のマスタープランとなる住生活基本計画につきまして、本年度内を目途に策定することといたしております。
このため本市といたしましては、まずはこの住生活基本計画を取りまとめた上で今後、国から示される基本方針を踏まえながら管理組合による適正で円滑な管理が図られますよう、優良マンション認定制度などのインセンティブ施策やマンション管理適正化推進計画の、策定の必要性について検討してまいりたいと存じます。
【総務局長】マンションを津波避難ビルとして指定することを検討する考えについてでございますが、本市では現在、沿岸部において近くに高台などがない地域住民のために、民間施設の御協力をいただき、113か所の耐震性のある建物を津波避難ビルとして指定しております。
御提言のマンションを津波避難ビルに指定することにつきましては、マンション住民全員の合意はもとより、安全管理上の問題や売買等により一部の所有者が変更された場合の対応など、種々の課題がございますことから、現在のところ本市が主体的に検討する考えはございません。
次に、マンション側から津波避難ビルとしての活用が提案された場合の対応についてでございますが、先ほど申し上げましたような種々の課題を踏まえながら提案者と慎重に協議を行い、指定に向けて検討してまいりたいと存じます。
【大西市長】本市の住宅政策に関し、目指していくまちづくりについてであります。
本市では、平成16年の線引き廃止以降、用途地域縁辺部における住宅開発や用途地域内の新築マンションがここ数年増加傾向にあるなど、住宅戸数が世帯数を上回っている状況にございます。また、今後の人口減少社会の到来を考え合わせますと、空き家や空き地が生じる、いわゆる都市のスポンジ化の進行が懸念されているところでございます。こうした本市の住宅需要や土地利用に及ぼす影響を踏まえますと、立地適正化計画に基づく都市構造の集約化に向けまして、空き家の利用促進など、総合的な住宅施策の推進に取り組んでいく必要があるものと存じております。
本市といたしましては、今後とも土地利用施策や公共交通ネットワークの形成に向けた取組に、住宅を取り巻く様々な課題に対応する施策を効果的に組み合わせて展開していくことにより、将来にわたり持続可能なコンパクト・プラス・ネットワークのまちづくりに着実に取り組んでまいりたいと存じます。
項目3の答弁は、以上でございます。
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