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議事録

2021年3月定例会 質疑(一般質問)

【太田】 ここ数年で社会全体に、ヤングケアラーとは、病気や障害を持つ親や祖父母・兄弟等の介護・ケアをしている子供・若者のことという認識が広がり始め、ついに政府も初めてヤングケアラーの全国的な実態調査に乗り出しました。厚生労働省の調査は昨年12月から始まり、全国の公立中学校1,000校と定時制を含む高校350校、及び通信制学校を抽出して行われています。介護や世話が必要な家族がいるかなどについてアンケート調査を行った上で、今年度中に結果を取りまとめ、支援策を検討するとのことです。

 この政府の調査に先立ち、私は全ての高松市立小中学校を対象に、独自にアンケート調査を行いました。小中学校ともにヤングケアラーという言葉の概念を知っていると回答したのは約半数でした。政府が調査に乗り出しているにもかかわらず、ヤングケアラーという言葉を知らないと答えた学校が18校もあったことには少々不安を感じます。

 また、学校にヤングケアラーだと思われる児童生徒がいるという回答は、小学校で4校、中学校で11校でした。外国にルーツを持つ家庭、精神疾患のある家族、幼い兄弟の世話が主なケアの対象です。

 2月9日の四国新聞で報道された自助グループこどもぴあの調査では、精神疾患の親を持つヤングケアラーの9割が小学校の頃に生活の悩みを学校で相談しなかったことが明らかになりました。独自アンケートで、ヤングケアラーがいると答えた学校が15校しかないことには、家庭で困り事を抱えても学校で相談できないといった背景もあると思われます。

 また、政府の調査は、対象が中学生・高校生ですが、小学生の中にもヤングケアラーは存在しています。ケアラー支援条例を制定した埼玉県の調査でも、ヤングケアラーのうち4割近くが小学校を卒業するまでにケアを始めていることが分かりました。

 今回の独自アンケートでは、ヤングケアラーの児童生徒に対する支援として、行政に期待することを記述式で回答していただきました。その中には、正確な実態把握・実態調査という言葉が散見されました。

 子供たちがどのようなことに困っているのかを正確につかみ、家庭環境に左右されずに学びや遊びの機会を保障できるように、まずは市内の児童生徒について調査を行うべきと考えます。改めて本市として、市立学校の児童生徒を対象にした、ヤングケアラーの実態調査を行う考えについてお答えください。

 また、独自アンケートで言葉の意味を正確に把握していない学校が半数を占める状況を鑑みて、学校や教職員に対して、ヤングケアラーへの理解を深めていく方策についてお示しください。

 学校は家庭への介入が難しいという悩みや、外部からの情報が学校には入りにくく、行政と学校との連携を強化してほしいとの声も多かったです。また、ヤングケアラーの存在に気づいても、市のどの課が担当なのかよく分からないという意見もありました。ケア対象者の障害・疾患の状況や年齢などによって、担当課が異なり、そうした縦割りの対応が、ヤングケアラーの子供たちと行政や学校が連携できていない要因にもなっていると思われます。

 今後、政府がどのような支援策を講じるかはまだ不透明ですが、本市としては、ヤングケアラーの子供たちやその家庭に対して、どのような支援を行っていくのか、お答えください。

 神戸市は4月からこども・若者ケアラー支援担当課を設けます。社会福祉士らが当事者のほか、可能性がある子供の存在を把握した学校などから相談を受けたり、情報収集をすることとしています。本市においても、関係する部署の横断的な連携をさらに強化していく考えについてお答えください。

 2018年6月定例会で、ヤングケアラーに関し教育現場と福祉部門の連携について尋ねた際、大西市長は、相談支援包括化推進員──まるごと福祉相談員と小中学校のスクールソーシャルワーカー等が協働して訪問対応を行い、課題を抱える児童生徒だけではなく、その家族を含めた家庭教育支援を行うとともに、教育委員会と福祉部局が情報共有を行う場を定期的に設けると答弁されましたが、これまでの2年半の経過及び教育委員会と福祉部局の情報共有によって得られた成果についてお答えください。

 ヤングケアラーの子供たちに限らず、家庭に困り事を抱えている子供にしっかり寄り添っていくためには、学校・家庭・地域で暮らしやすい生活の支援や福祉制度の活用などを通し、児童生徒の支援を行うスクールソーシャルワーカーの役割が非常に大きくなってきます。教職員が介入できない部分を担っていただく貴重な存在なので、独自アンケートでもスクールソーシャルワーカーとの連携強化を求める意見が多数ありました。

 本市におけるスクールソーシャルワーカーは、中間年度目標15名に対し現在13名、2023年度には22名の目標を掲げています。早急に増員すべきと考えますが、スクールソーシャルワーカーの配置の遅れの原因と、今後の増員計画についてお答えください。


【教育長】37番太田議員の質疑にお答え申し上げます。

 ヤングケアラーのうち、市立学校の児童生徒を対象にした、ヤングケアラーの実態調査を行う考えについてであります。

 子供が家族の世話をする経験は、子供の健全な成長や人格の形成に役立つ面もありますが、限度を超えると、子供が豊かに生きる権利の侵害につながるおそれがあると認識いたしております。

 日本ケアラー連盟が平成28年に神奈川県で行った調査結果では、教員が家族の世話を子供が行っていることに気づいたきっかけとしては、子供本人からの話が最も多く、教職員が子供と話をする時間を確保することは、家族の世話が過重な負担になっている子供の悩みをキャッチする第一歩として、非常に重要な役割を果たすものであると存じております。

 このようなことから、児童生徒を対象にしたヤングケアラーの実態調査につきましては、各学校で定期的に行われている教育相談活動において、教職員がヤングケアラーの存在を意識しながら、教育相談アンケート等を活用した児童生徒との面談等を進めることで、この問題の早期発見や、悩みを抱える児童生徒の把握に努めてまいりたいと存じます。

 次に、学校や教職員に対して、ヤングケアラーへの理解を深めていく方策についてであります。

 家族の世話が過重な負担になっている子供の存在に教職員が気づき、適切な支援につなげていくためには、ヤングケアラーという概念に対する教職員の理解を深めることが重要であると認識いたしております。教育委員会といたしましては、管理職や生徒指導担当教員を対象とする研修会において、ヤングケアラーを取り上げた内容を扱い、教職員への周知を図るなど、ヤングケアラーに対する理解を深めるための教職員への指導・助言に努めてまいりたいと存じます。

 次に、ヤングケアラーの子供たちやその家庭に対して、どのような支援を行っていくのかについてであります。

 ヤングケアラーの子供たちを含む、全ての児童生徒の悩みや困り事については、各学校において、面談やアンケートによる教育相談活動のほか、日常的な声かけや観察などによって、教職員ができるだけ早期に把握するように努めているところでございます。

 教職員がヤングケアラーである家族の世話をする子供の存在に気づいた際には、まずは子供の話をよく聞き、支援する大人がいることを伝え、子供の精神的な安定を図るとともに、放課後等を活用した個別の学習支援や、学級活動や休憩時間等を利用した、豊かな触れ合い活動の機会の確保等に取り組んでいるところでございます。

 また、家庭訪問等によって、教職員が家庭内の状況を把握した際には、教職員と連携したスクールソーシャルワーカーが、保護者を本市の関係各課や、まるごと福祉相談員等につなぎ、必要な支援を行うなど、家庭環境の改善を図ることで、ヤングケアラーである子供の負担の軽減に努めているところでございます。

 ヤングケアラーである子供たちやその家族が安心して生活を送ることができるよう、今後とも、学校と福祉部局・教育委員会が綿密な連携を図りながら、適切な支援を行ってまいりたいと存じます。


【大西市長】関係する部署の横断的な連携をさらに強化していく考えについてであります。

 本市におきましては、平成30年度に教育局も含む、9局39課室で組織する地域共生社会推進プロジェクトチームを設置し、地域生活課題を把握し、解決に資する支援を包括的に行うための体制の整備や、関係機関との連携方法等について、協議調整を行っているところでございます。

 これまでの協議におきまして、総合センターなどの職員と、まるごと福祉相談員が参加し情報共有を行う、まるごと福祉コアメンバー会議を開催してまいりましたほか、相談業務を担当する関係課に連携主担当・副担当者を配置し、常時、連携できる体制を整備してきたところでございます。

 また、複合的な案件につきましては、地域共生社会推進室が関係課間の調整を行うなど、まるごと福祉相談員や、つながる福祉相談窓口において受け止めた相談を、円滑に支援につなぐための連携強化も行っているところでございます。

 私といたしましては、ヤングケアラーの子供たちのケアに伴う負担を少しでも軽減するためには、関係各課が担当する様々なサービスを有機的につなげることが重要でありますことから、学校やスクールソーシャルワーカーから支援が必要と考えられる家庭の情報提供が寄せられた場合は、プロジェクトチーム構成員をはじめとした、関係各課との情報共有を密にしながら、対応を検討するなど、さらなる連携強化に努めてまいりたいと存じます。


【健康福祉局長】教育委員会と福祉部局の連携に関し、2年半の経過についてでございますが、これまでの取組といたしましては、本市職員とまるごと福祉相談員がエリア内の小中学校を訪問して、地域共生社会の実現に向けた取組について周知を行いましたほか、まるごと福祉相談員がスクールソーシャルワーカーとの情報共有の下、随時、アウトリーチ先として小中学校へ伺い、困難を有する児童生徒やその家族の支援を行うなど、教育委員会と福祉部局の連携を図ってきたところでございます。

 また、情報共有によって得られた成果についてでございますが、スクールソーシャルワーカー等から相談を受けたまるごと福祉相談員が、学校をはじめとした関係機関と早急に連携しながら、ひきこもり傾向の家族を支援機関へつなぐことで、子供への影響を軽減したり、ネグレクトにより自宅に食べるものがない子供への支援として、フードバンクから食料提供してもらうなど、スクールソーシャルワーカーと共に、それぞれの状況に応じた課題解決を図ってきたところでございます。

 このようにスクールソーシャルワーカーとまるごと福祉相談員が連携することにより、対象者に寄り添った効果的な支援が実施できたものと存じておりまして、今後におきましても教育委員会と福祉部局の円滑な情報共有及び連携により、支援を必要とする児童生徒やその家族への迅速かつ適切な対応に努めてまいりたいと存じます。


【教育長】スクールソーシャルワーカーの配置の遅れの原因と、今後の増員計画についてであります。

 本市におきましては、13名のスクールソーシャルワーカーが中学校を中心に、状況に応じて小学校や高松第一高等学校にも赴き、教職員の介入が困難である児童生徒の福祉に関する職務に従事しているところでございます。

 当該職員の配置につきましては、経験豊富で専門性の高い適切な人材の確保が難しいことや、限られた予算を多様な施策に効果的に配分する必要があることから、計画どおりの人数の配置に至っていないものの、おのおのが年間1,440時間の勤務時間を柔軟に運用して、支援を要する児童生徒やその家族のために、でき得る限りの支援活動に取り組み、成果を上げていると認識いたしております。

 スクールソーシャルワーカーの今後の増員につきましては、適切な人材の確保が見込める場合には、必要な予算の確保に努めたいと存じます。

 項目1の答弁は、以上でございます。


【太田】今日の性教育の国際的な潮流は、人権尊重や性の多様性などを含んだ包括的性教育であり、ジェンダー平等を求める積極的で幅広い性教育が常識化しつつあります。

 一方、日本においては、今なお、消極論も根強く、世界の潮流からは取り残された状況にあります。包括的性教育の不足は、性に関する知識の不足による望まない妊娠や性感染症の原因となることはもちろん、人権や性的同意に関する認識の不足による性加害・被害、性的マイノリティーへの差別、さらにはセクシュアルハラスメント・DVなどの原因や背景ともなっています。

 文部科学省では来年度、子供を性犯罪等の当事者にしないための安全教育推進事業を、新規事業とし3,300万円の予算をつけています。いわゆる、いのちの安全教育ですが、性暴力の被害者・加害者・傍観者にならないために、例えば情報モラル教育、プライベートパーツ、相談先などについて教えることとされています。

 一方、世界に目を向けると、ユネスコは2009年に包括的性教育の国際ガイダンス──国際セクシュアリティ教育ガイダンスを示し、2018年に改訂しています。改訂版にはジェンダー平等の位置づけを高めるなど、新しい状況に対応しています。日本以外の多くの国、EU圏のみならず台湾・韓国・中国などでは性教育にこのガイダンスを取り入れ、世界に広がっています。このガイダンスでは、性教育は学校で推進されねばならないと強調されています。

 性教育については、昨年の議会の中で、学校における性に関する指導については、学習指導要領に基づき、児童生徒の発達段階に応じた内容を、保健の授業をはじめ学級活動や道徳科など、学校教育活動全体を通じて実施していると答弁しています。

 しかし、文部科学省は1998年に中学校学習指導要領に、妊娠の経過は取り扱わないという一文を書き加えたまま、今に至っています。そのため、4月から始まる、新たないのちの安全教育でも、中学校では性行為などの扱いに及び腰です。これでは性行動が活発になる前に正しい知識を教えることが、子供の心身を守るという国際ガイダンスと大きくずれています。子供の実態をよく知る地方自治体こそが、国際的潮流に学んだ包括的性教育実践に取り組むべきと考えます。

 実際、東京都では2019年に教員用の性教育の手引きを改定し、学習指導要領では高校で扱うとされている避妊などを、中学校で教える指導案が盛り込まれ、一部の学校ではこれに沿った授業が進められています。

 2019年に日本産婦人科医会が発表した性教育の現状と問題点によると、中絶選択率は全年齢だと15%ですが、20歳未満に限ると59%が人工妊娠中絶を選択しています。しかし、未成年の人工妊娠中絶においては、心身ともに及ぼす影響が大きいことは明らかです。中絶を選択せざるを得なかった要因として、デートDVや性暴力、性に関する正しい知識の不足などが考えられます。こうしたことを考えれば、義務教育で性行為や避妊の方法、アフターピル──緊急避妊薬についても責任を持って教えるべきと考えます。義務教育の中で、性行為における人権尊重やジェンダー平等まで包括的に教えることが、真のいのちの安全教育なのではないでしょうか。

 そこで文部科学省が示している、いのちの安全教育に対する見解についてお示しください。

 また、刑法における性的同意年齢が13歳以上であり、県下でも人工妊娠中絶を選択する未成年がゼロにならない現状を踏まえ、義務教育で性行為や避妊の方法を教えないことの責任についてどのようにお考えでしょうか。

 性教育を受けることは、国際的には基本的人権の一つだと認識されています。国際セクシュアリティ教育ガイダンスについての見解についてお答えください。

 最後に、子供の人権・健康を守るためにも、中学校で東京都のように避妊について教える考えについてお答えください。


【教育長】性教育のうち、文部科学省が示している、いのちの安全教育に対する見解についてであります。

 いのちの安全教育は、子供たちを性犯罪等の当事者にしないことを目的として、学校教育において、より実践的なテーマを取り入れた指導の充実を図ろうとするものであると存じております。性犯罪・性暴力は、被害者の尊厳を著しく踏みにじる行為であり、その心身に長期にわたり重大な悪影響を及ぼす人権問題でありますことから、その根絶に向けた命の貴さを学び、命を大切にする教育であり、自分や相手一人一人を尊重する教育でもある、いのちの安全教育は、子供たちを加害者や被害者・傍観者のいずれにもさせないための取組として、重要なものであると存じております。

 次に、義務教育で性行為や避妊について教えないことの責任についての考えであります。

 本市の小中学校における性に関する指導につきましては、学習指導要領に基づき、保健の授業をはじめ、学級活動や道徳科など、学校教育活動全体を通じて、児童生徒の発達段階に応じて実施しているところであります。しかしながら、思春期を迎える時期においては、子供たちの心身の発達の差が大きいことも踏まえ、集団において指導する内容と個々の発達段階を考慮し、個別で指導する内容との関連を図りながら、家庭と連携し、効果的な指導を進めていくことが重要であると考えております。

 教育委員会といたしましては、その責任において、引き続き、文部科学省が示す学習指導要領の趣旨を踏まえ、個々の発達段階も考慮しつつ、子供たちが性に関する正しい知識を身につけ、自分自身や周りにいる人たちを大切にし、適切な対処や行動ができる力をつけられるよう、各学校を指導してまいりたいと存じます。

 次に、国際セクシュアリティ教育ガイダンスの見解についてであります。

 国際セクシュアリティ教育ガイダンスは、ユネスコが中心となり、世界中の性教育の専門家によって開発された、人権尊重や性の多様性を含む包括的な性教育の枠組みを示すものでございまして、包括的性教育の効果的な推進のためにジェンダーの理解、人間関係などの八つの項目について、年齢段階に応じて、具体的な学習課題が示されたものであると存じております。

 この包括的性教育の実践で重視されている点は、多様性を前提にすること、科学的であることを追求し続けること、子供・若者たち自身が考え、交流する機会を積極的につくり出していくことであり、このことは、これからの性教育の学習を考えていく上で、重要な視点であると捉えております。

 次に、中学校でも避妊について教える考えについてであります。

 中学校の学習指導要領では、生殖器の発育とともに生殖機能が発達し、妊娠が可能となることや、異性への尊重など、性に関し適切に理解できるようにすることが示されており、取り扱う内容については、受精や妊娠とするものとし、妊娠の経過は取り扱わないことが示されております。

 本市の中学校における性に関する指導につきましては、こうした学習指導要領に基づき、個々の発達段階を踏まえ、学校全体で共通理解を図るとともに、家庭と連携しながら指導を進めているところでございます。また、高等学校では、中学校の学習内容に加えて、出産・家族計画や人工妊娠中絶について学習するなど、発達段階に応じた適切な指導を行っているところでございます。

 教育委員会といたしましては、いのちの安全教育や国際セクシュアリティ教育ガイダンスの重要性を認識しておりますことから、今後、養護部会や保健体育部会等と連携しながら、その趣旨を取り入れた授業実践に取り組み、その成果や課題等を研修会で情報共有し、性に関する指導の充実に努めてまいりたいと存じます。

 項目2の答弁は、以上でございます。


【太田】(4)について、今の御答弁ですと、避妊について教えるのか教えないのかが分かりませんでした。学習指導要領に基づいてということですが、学習指導要領というのは、あくまで文部科学省から示された方針であって、ルールではありません。中学校を卒業して就職する子などは、性行為における避妊などの正しい性の知識について学ぶことなく社会に出ることになるため、高等学校に進学してから性教育を学ぶのでは遅いと思います。

 本文中では、率だけ示しましたが、日本では、毎日40人の10代の女の子が人工妊娠中絶を行っています。しかも、海外ではほとんど行われていない掻爬法という、非常に母体に負荷のかかる方法で手術を受けています。そうしたことも踏まえて、義務教育における性教育の意義や責任は非常に大きいと考えています。再度、中学校で東京都のように避妊について教える考えについてお答えください。


【教育長】37番太田議員の再質疑にお答え申し上げます。

 性教育のうち、中学校でも避妊について教える考えについてであります。

 中学校の学習指導要領で取り扱う内容については、受精や妊娠とするものとし、妊娠の経過は取り扱わないことが示されております。本市の中学校における性に関する指導につきましては、こうした学習指導要領に基づき、個々の発達段階を踏まえ、家庭と連携しながら指導を進めているところでございます。

 教育委員会といたしましては、いのちの安全教育や国際セクシュアリティ教育ガイダンスの重要性を認識いたしておりますことから、今後、まずは養護部会や保健体育部会等と連携しながら、いのちの安全教育等の趣旨を取り入れた授業実践に取り組み、その成果や課題等を研修会で情報共有し、性に関する指導の充実に努めてまいりたいと存じます。


【太田】まず、独り親家庭のうち父子家庭の現状についてお伺いします。

 児童扶養手当を申請しているものの、収入があるため手当を受給していない独り親家庭は、特に父子家庭に多いとされていますが、本市における児童扶養手当の受給資格者数、そのうち支給停止者数、さらに、支給停止となっている父子家庭の受給資格者数をお答えください。

 コロナ禍においては、国も独り親家庭の窮状を酌み、二度にわたるひとり親世帯臨時特別給付金の支給を実施しました。ひとり親世帯臨時特別給付金の給付状況、また、このうち新型コロナウイルス感染症の影響を受けて家計が急変したことにより、支給対象になった世帯の給付状況について伺います。

 また、申請漏れ防止策をどのように講じたのか、お答えください。

 全国の地方議員で構成するひとり親家庭支援のための地方議員ネットワークでは、これまで独り親当事者の方から聞き取り調査を行い、自治体や国に対して具体的な支援の要望を行ってきました。先日、昨年の小中学生の自殺数が過去最多で、コロナ禍であることが影響しているとの報道がありました。この閉塞された空間で、親も子も疲れ切っているのが現状ではないでしょうか。中でも、独り親家庭は孤立しがちで、独り親家庭になった要因や抱える問題により必要な支援が異なるため、行政がニーズを捉えた支援を十分に実施しているとは言い難い状況にあります。

 そこでお伺いします。

 コロナ禍における母子父子自立支援員の相談対応状況について。

 また、コロナ禍であることも考慮した相談体制の充実を図る考え。

 また、独り親家庭が就職活動を理由に、保育所に通園できる期間は、どのくらい設けているのか。

 独り親家庭が使用できるヘルパー派遣事業であるひとり親家庭等日常生活支援事業の活用状況についてお答えください。

 これらの支援策を独り親家庭にさらに浸透させる必要があります。

 また、離婚により独り親家庭になる人への支援も不十分です。特に、離婚前後の支援は多くの自治体で不足していますが、近年、養育費確保事業を行う自治体が増えています。例えば、明石市では調停申立てや公正証書の作成等に係る収入印紙代や手数料などの費用を全額補助しています。横須賀市では、保証会社と養育費保証契約を締結すると、初回の保証料に対して補助が受けられます。

 養育費保証契約とは、相手が養育費を支払ってくれなかった場合、保証会社が相手に代わって立て替えるサービスです。離婚して独り親となった後も、子供のために養育費が確保できるようにと知恵を絞っていますが、本市の現状は、ホームページで養育費相談支援センターのリンクが張られているだけです。

 そこで養育費確保事業として、公正証書作成費用の補助などを行う考えについてお答えください。

 他方で、死別によって独り親家庭になる方もいます。死別により独り親家庭になった方に対しては、子供も含め心のケアの充実が必要と考えます。千葉県千葉市では、親と事故などによる障害を含む死別等をした18歳以下のお子さんと保護者などを対象に、深い悲しみや喪失感を軽減するグリーフケアとして、専門機関によるカウンセリングを実施しています。上限12回まで無料で受診でき、本年度のグリーフケア予算は全額市費で18万5,000円だったそうです。独り親になるきっかけを離婚だけと決めつけず、死別した子供に寄り添うことが大切です。

 そこで本市においても、グリーフケア事業を行う考えについてお答えください。

 子供と親にしっかり寄り添う支援が今こそ求められています。


【健康福祉局長】独り親家庭支援のうち、児童扶養手当の受給資格者数、そのうち支給停止者数、さらに、支給停止となっている父子家庭の受給資格者数についてでございますが、令和3年2月末現在で、児童扶養手当の受給資格者は4,504人でございまして、支給停止となっている受給資格者は862人で、そのうち113人は父子家庭の受給資格者でございます。

 次に、ひとり親世帯臨時特別給付金の給付状況、このうち新型コロナウイルス感染症の影響を受けて家計が急変したことにより、支給対象になった世帯の給付状況についてでございますが、国の令和2年度第2次補正予算に基づく、ひとり親世帯臨時特別給付金に係る本市の本年2月末までの給付状況は、申請不要の対象者も含め、合計で3,701人に対して支給しており、そのうち新たに家計が急変するなどして給付金の対象となった方は150人でございます。

 次に、ひとり親世帯臨時特別給付金の申請漏れ防止策をどのように講じたのかについてでございますか、本給付金につきましては、支給要件において児童扶養手当の受給者の場合には、申請を不要としておりますが、手当受給者であっても追加給付の対象となる場合や、手当の受給の有無にかかわらず支給要件に該当することにより給付対象となる場合は、申請をお願いしているところでございます。

 このため、本市では申請漏れを防止するため、まず、児童扶養手当受給資格者に対しては、昨年8月に現況届の提出依頼を送付する際、本給付金のチラシを同封し、手当受給者は申請不要であることのほか、手当が支給停止となっている公的年金受給者や、家計が急変した方などについては、申請が必要であることを明記し、申請勧奨を行ったところでございます。

 また、郵送等で直接御案内できない対象者に関しましては、国のホームページや政府広報のテレビコマーシャルなど、広く周知されたことに加えまして、本市におきましても、本市ホームページや広報高松等で情報発信するとともに、新たに児童扶養手当の申請をお考えの方に対しましても、本給付金の詳細を併せて御説明し、申請漏れのないよう、積極的な周知に努めてきたところでございます。

 次に、コロナ禍における母子父子自立支援員の相談対応状況についてでございますが、本市では、これまでも独り親家庭の方が抱えている様々な悩み事の相談や、生活の維持・自立のための支援に際して、3名の母子父子自立支援員が問題解決のお手伝いをしているところでございます。

 新型コロナウイルス感染症の影響により、独り親家庭の方がお困りのところ、外出自粛等により相談を控えることが懸念されましたことから、昨年8月、児童扶養手当受給資格者に対し、現況届の案内を送付する際に、本市で実施しております各相談窓口に関するお知らせを同封したほか、窓口の受付時にも、心配なことや相談したいことはないか、お声かけを行ったところでございます。

 これにより、内容も新型コロナウイルス感染症特有の多岐にわたる相談が多く寄せられておりまして、収入減のため緊急で生活費が欲しいなどの相談があった方には、自立相談支援センターたかまつの緊急小口資金や、ひとり親世帯臨時特別給付金を、また、家賃の相談には、住居確保給付金を案内するほか、大学生のバイトの減に伴う生活費等の相談には、日本学生支援機構の臨時申込窓口につなぐなど、各家庭の事情に応じた対応に努めているところでございます。


【大西市長】コロナ禍であることも考慮した相談体制の充実を図る考えについてであります。

 新型コロナウイルス感染症の感染拡大により、市民生活に多大な影響が出ており、とりわけ経済的な支援を必要とされている独り親家庭の多くの方が、深刻な状況に直面していると認識いたしておりまして、コロナ禍におきまして、独り親家庭の実情に応じた相談体制を整備し、必要な支援につなげることが重要であると存じております。

 このような中、コロナ禍にあって、窓口での相談を希望されない独り親家庭の方からの相談にも対応できるよう、今年度、国の新型コロナウイルス感染症緊急包括支援交付金を活用し、テレビ電話が可能になるスマートフォンを購入し、リモートによる相談体制を整備したところでございます。

 また、本市ホームページや広報高松はもとより、たかまつホッとLINEを通じて、各種相談や補助制度の周知を行うほか、どのような相談ができるのかを承知していない方々に、気軽に御相談いただけるよう、相談窓口の案内を市役所内の目に留まりやすい箇所に表示をするなど、相談しやすい環境づくりに努めているところでございます。

 新型コロナウイルス感染症の収束が見通せない中、独り親の方々が抱える様々な不安に的確に対応できるよう、専門の相談員や関係機関に速やかにつなげられる相談体制の充実などを、引き続き図ってまいりたいと存じます。


【健康福祉局長】独り親家庭が就職活動を理由に、保育園に通園できる期間は、どのくらい設けているのかについてでございますが、本市では、独り親家庭に限らず、求職活動中であることを理由に、保育の必要性を認定する期間については、子ども・子育て支援法施行規則に基づき3か月としているところでございます。しかしながら、3か月での就職が困難な場合も想定されますことから、本市では、求職活動の状況を確認した上で、3か月の延長を認めており、最長で6か月としているところでございます。

 次に、ひとり親家庭等日常生活支援事業の活用状況についてでございますが、この事業は、日常生活を送ることが困難な独り親家庭を対象に、家庭支援員を派遣し、家事や買物などの生活支援を行うもので、現在、高松市社会福祉協議会に委託して実施しております。

 本事業の利用登録者数は現在18人で、その支援内容は、主に残業時の未就学児の食事の世話や居室の片づけ、買物等という状況でございます。事業の対象者である独り親家庭の全体数に比して、利用登録者数が限定的でありますことから、支援を必要とする方の利用登録につながるよう、本事業を広く周知していくことが必要であると認識いたしております。

 このようなことから、引き続き、本市ホームページや離婚届を提出する際、配付しておりますひとり親家庭サポートブックで本事業を紹介するほか、本市のたかまつホッとLINEを活用するなど、周知機会の拡充に努めながら、利用者の拡大を図ってまいりたいと存じます。


【大西市長】養育費確保事業として、公正証書作成費用の補助などを行う考えについてであります。

 本市では、これまで独り親に限らず、これから離婚をお考えの方からの養育費に関する相談に対して、3名の自立支援員が養育費に係る公正証書作成のアドバイスを行うほか、本市の無料弁護士相談や養育費相談支援センターへの案内等を行うなど、独り親の方々に寄り添った丁寧な対応に努めてきたところでございます。

 養育費の不払いを原因として、経済的に厳しい状況にある独り親家庭が全国的に多く見られる中、先行的に、公正証書作成費用等に係る補助制度を実施している自治体の取組は、独り親の方々が抱えている現在の生活や、子供の将来に対する不安を軽減させる効果が期待できますことから、本市としても参考とすべき点があるものと存じております。

 このような中、国においては、昨年6月以降、離婚届を扱う戸籍部門を所管する法務省と、独り親支援を所管する厚生労働省が連携を図り、各省庁の代表者で構成される検討部会によって議論が重ねられるなど、養育費の確保に向けた公的支援の在り方について検討が進められているところでございます。

 このようなことから、本市といたしましては、国の検討状況を注視してまいりますとともに、養育費の確保に向けた支援策につきまして、他都市の取組も参考にしながら調査研究してまいりたいと存じます。

 次に、死別した独り親家庭に対し、グリーフケア事業を行う考えについてであります。

 少し古い話になりますが、私は平成25年度に市長まちかどトークにおきまして、グリーフワークに関する事業を行っているNPO法人と意見交換をしたことがあります。そこで聞いたお話などからも、死別により独り親家庭となった御家族の方は、深い悲しみと喪失感から、様々な精神的問題が生じることもあると存じております。

 このような問題について、本市では、独り親家庭の方で心理的な支援を必要とする方への対応として、保健センターに設置しているこころの健康相談窓口において、保健師等が電話や面接により相談に応じておりますほか、子供の養育に支障を来したり、虐待につながるおそれがある場合には、こども女性相談課に設置しております子ども家庭総合支援拠点において、心理担当支援員による心理的側面からのケアを行っているところでございます。

 お尋ねのグリーフケア事業につきましては、専門家によるカウンセリングにより、家族を亡くした遺族の悲しみを軽減し、心理的・社会的に孤立しないよう、適切な援助が受けられるものであり、意義あるものと存じますが、利用ニーズやその効果などを見極める必要もございますことから、今後、他都市の取組を調査してまいりたいと存じます。

 いずれにいたしましても、引き続き、心理的な支援を必要とする独り親家庭の方に寄り添った、適切な相談支援に努めてまいりたいと存じます。

 項目3の答弁は、以上でございます。

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