2020年11月臨時会 討論
【太田】市民派改革ネットを代表して、今臨時会に提出されている議案について討論を行います。
議案第138号令和2年度高松市一般会計補正予算(第7号)中、行政改革推進費3,194万1,000円についてです。
政府の発表によると、11月1日時点でのマイナンバーカード交付枚数は約2,777万枚、人口比にして21.8%です。このマイナンバーカードを所持している人のうち、さらにマイナポイントを申請した人は11月18日時点で931万人です。マイナンバーカード所持者の中でも申請者は33%、人口比で見るとたった7%の人しかマイナポイントを申請していないことになります。この割合を高松市の人口比に当てはめてみると、単純計算で1人のマイナポイント申請に約2,600円の広報・支援費が使われることになります。市長は、質疑答弁の中で、費用対効果はあると明言されていましたが、果たしてこれだけの税金をつぎ込んで7%の人だけが申請をしている事業に費用対効果があるのか非常に疑わしいです。
今回の補正予算は、本市におけるマイナポイント事業の広報に係る予算で、全額国費となっています。しかし、小さな自治体では今回の広報費の予算取りを行っていない自治体もあります。国のやることにそのまま追随するのではなく、自治体として今何を最優先すべきなのかを考えるべきです。
マイナポイント事業は、消費の活性化、マイナンバーカードの普及促進、官民キャッシュレス決済基盤の構築を目的としていますが、消費の活性化に関しては2019年10月1日から2020年6月30日までの9か月間が還元対象期間であり、中小小売店でキャッシュレスで買物をすると5%のポイント還元が受けられた事業をそのまま継続すればよかったのです。多額の費用とシステム改修などの時間・手間をかけてマイナポイント事業を導入するメリットはありません。また、キャッシュレス決済基盤の構築に関しては、民間に任せればよいだけで、そこに公・政府・自治体が介入する合理的理由は何もありません。
総務省は20日、マイナポイント事業について、2021年3月までとしていた実施期間を延長する方針を固めたとの報道がありました。国からの情報は丁寧に自治体に届いているとは言えず、本市職員も報道で実施期間延長を知ったという状況です。このように、国の場当たり的な政策の方向転換に本市職員が振り回されるのは掉棒打星と言うほかありません。
マイナンバー制度の当初の目的であった社会保障・税・災害対策からは遠くかけ離れ、単にマイナンバーカードを増やしたいがために、あの手この手を使って国も自治体も躍起になっています。
しかし、個人情報の名寄せの危険性や情報漏えいのおそれなど、払拭されていない多くの課題が解決されていません。マイナンバーカードの取得は、あくまでも任意であり、義務ではありません。ここに多くの税金を投入することは到底許されるものではなく、新型コロナウイルス感染症がさらに拡大する中で、税金の使い道を改めて考え直すべきであり、さらなるマイナポイント事業に対する申込窓口支援や広報等の追加予算には反対です。
次に、感染症予防事業費6,169万5,000円についてです。
今回の補正予算は、65歳以上の高齢者を対象に検査を希望する無症状者に対して、PCR検査1回につき1万7,000円を助成、回数制限はないという内容です。
確かに、高齢者は新型コロナウイルス感染症に罹患すれば重症化しやすく、積極的なPCR検査が必要です。高松市内のある保育園では、保育士・スタッフ・子供たちの安全と働く人の生活を守るために、年末年始に家族が1日50人以上の新型コロナウイルス感染症患者が出ている地域から帰省・旅行する場合には、全て園の負担で独自にPCR検査をスタッフの家族にも受けてもらうことを決断したそうです。
しかし、同様に、例えば高齢者施設で働く職員、医療機関関係者、行政検査からは漏れたが感染を不安に感じる方などにも積極的なPCR検査を自治体が主導で行うべきです。
東京都世田谷区では、介護事業所・障害者施設・一時保護所・児童養護施設と保育園・幼稚園に勤務する職員及び小中学校の教職員が随時PCR検査を受けることができる体制を整えています。埼玉県ふじみ野市でも、満65歳以上の人に加え、市内の施設で従事する医療従事者、必要な人に対してPCR検査の助成を行っています。さらに、新潟県三条市では、県外出張や県外からの来客対応を伴う市内事業者が従業員等に受けさせるPCR検査費用の一部を助成するなど、よりリスクの高い人への検査費用助成が行われています。
新型コロナウイルス感染症の感染者早期発見と早期療養につなげ、感染拡大の防止を図るためには、このような柔軟なPCR検査への助成が必要であると考えます。よって、PCR検査助成対象の拡充を図っていくことを要望として付け加え、本予算には賛成します。
以上で討論を終わります。
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