2019年9月定例会 一般質問
【太田】
インクルーシブ教育とは、人間の多様性を尊重しつつ、障害のある者とない者が差別を受けることなく、できる限り、ともに同じ場で学ぶ教育のことを言います。
香川県は、特別支援教育支援員、以下、支援員について、障害のある児童生徒に対し、食事・排せつ・教室移動の補助等、学校における日常生活動作の介助を行ったり、発達障害の児童生徒に対し、学習活動上のサポートを行ったりする者であり、具体的事象として、自分で食べることが難しい児童生徒の食事の介助をする。また、必要に応じて身支度の手伝い、食べこぼしの始末をすると示しています。
しかし、市内公立小学校に通う女児──脳性麻痺・車椅子使用は、食事介助が必要ですが、入学時より学校側は食事介助はできないという立場に立ってきました。保護者の方が、毎日学校に通って食事介助を行っていましたが、御家庭の事情で仕事に行かなければならなくなり、学校側に食事介助の要請をするも、やはり食事介助はできないと言われます。困りあぐねた御家族は、すぐ近くの中学校に通うお姉さんが、昼休みに学校を抜けて小学校に赴き、妹である女児の食事介助を数回行いました。保護者の方が仕事を始めて約2カ月後、利用している放課後デイサービスの方が食事介助に入ってくれることで対応。この2学期からは、訪問看護師が来校して食事介助をしてくれることになりましたが、そもそも介護や看護の専門職でなくとも食事介助は可能です。それは、先ほど述べた県の指針でも明らかです。中学生が小学校に赴いて、障害のある兄弟児の食事介助を行うことは適切なことかどうか、市の見解を問います。
なお、主治医との懇談の中でも、当女児に誤嚥の心配はなく、必要なのは御飯を口に持っていくという、運動面でのサポートであることが確認されています。
ことし5月時点で、高松市内の公立小学校の特別支援学級には739名の児童が、公立中学校特別支援学級には237名の生徒が在籍しています。これに対し、今年度の小学校に配置されている支援員は合計43名、中学校は22名です。圧倒的に支援員が足りていない状況と言えますが、高松市としての見解を伺います。 支援員の数が足りないのであれば、充足する方法を考えるべきではないのでしょうか。支援員確保のための具体的な検討内容を伺います。
昨年12月定例会における答弁で、教育長は、「これまで以上に特別支援学級での、きめ細かな指導が求められていますことから、県教育委員会へ特別支援学級の編制基準の見直しを含め、加配教員の増員を、引き続き強く要望してまいりたい」と述べておられます。特別支援学級の編制基準の見直し、及び加配教員増員の要望に対する県の回答についてお示しください。 また、同女児に対しては、1学期間、同学年の児童が、理科で育てるホウセンカを学校で用意してもらえていなかったということや、1年生のときに1階だった交流学校が3年生では4階の別棟になったことで、移動困難により断念せざるを得なかったとも伺いました。追い打ちをかけたのは、人権SOSへの電話です。このようなことが学校で起こっている旨、相談したところ、なぜ養護学校に行かないのか、合理的配慮をするにも過ぎるとの返答でした。
特別支援教育ハンドブック──香川県教育委員会事務局特別支援教育課作成には、合理的配慮の決定方法については、「学校、本人、保護者により、発達段階を考慮しつつ、現在必要とされている「合理的配慮」は何か、何を優先して提供するかなどを話し合い、可能な限り合意形成を図った上で決定し、提供されることが望ましく」、また、「移行時には、情報の引き継ぎを行い、途切れることのない支援を提供することも必要です。なお、「障害者の権利に関する条約」において、「合理的配慮」の否定は、障害を理由とする差別に含まれるとされている」と明記されています。 交流学級を特別支援学級から遠い場所に離すことにより、長期間交流が行えなかったことは、合理的配慮に欠けるものではないでしょうか。インクルーシブ教育システムを構築していくための、高松市における合理的配慮と、基礎的環境整備についての考え方をお示しください。 ここまでの事実を鑑みると、高松市ではインクルーシブ教育に逆行したことが行われているのではないかとの疑念を持たざるを得ません。高松市が目指しているインクルーシブ教育とは、一体どのようなことを指すのですか、お答えください。
先ほど、支援員確保について触れましたが、そもそも教員自体が欠員しているということはないですか。8月5日付の朝日新聞によれば、全国の小中学校で1,200件以上、教員の未配置が起きていることが明らかになったとしています。高松市における教員の未配置状況と、対応策についてお示しください。 最後に、高松市障がい者基幹相談支援センターが中核拠点となって、高松市・三木町・直島町の障害者・家族・地域の方々のために安心して暮らすことができる社会を目指す団体──高松圏域自立支援協議会が2006年10月に設立されています。日常生活における困り事の実態調査が、18歳から64歳の身体障害者部会では、ことし発表されています。困っていたり、悩みを抱えていたりするのは、成人だけではなく子供も同じです。なかなか取り上げられにくい障害を持つ子供の意見を、政策や今後の体制に生かしていくためにも、高松圏域自立支援協議会こども部会においても、実態調査を行う考えについてお答えください。
【教育長】
37番太田議員の御質問にお答え申し上げます。
インクルーシブ教育のうち、中学生が小学校に赴いて、障害のある兄弟児の食事介助を行うとは適切なのかについてであります。 御指摘の、事案につきましては、対象児童の食事介助について、学校と保護者が協議を重ねる中、学校が保護者の就業に影響が出ないように、給食時間の変更を提案しましたが、受け入れていただけず、保護者からの申し出を受けて、やむを得ず了承したものであると認識いたしております。
教育委員会といたしましては、兄弟児とはいえ、中学生が学校を離れ、介助に赴くことが適切とは考えておりませんが、保護者からの申し出であったこと、この時点で食事介助の専門性を有する人が決まっていなかったこと、また、小中学校双方で当該生徒の授業や安全面への配慮について十分協議が行われていたことから、対象児童が食事をとることができない状況を避けるために、あくまで緊急かつ臨時的措置として承認したところでございます。 次に、特別支援教育支援員の充足状況に対する見解についてであります。 特別支援教育支援員配置事業につきましては、平成19年度の21名の配置に始まり、今年度は、緊急性や支援の必要性の高い小中学校61校に65名を配置しているところでございます。昨年度からは、年間配当時間数をふやしており、特別支援学級の担任との連携を図りながら、児童生徒の生活面や学習面での支援を行うことで、自立や学習の理解を促すなど、顕著な成果が報告されているところでございます。 教育委員会といたしましては、特別支援教育支援員については、個々の障害の程度等、状況を把握しながら、適正な配置が行われていると認識いたしております。 次に、特別支援教育支援員確保のための具体的な検討内容についてであります。 特別支援教育支援員につきましては、教員免許状を有すること、または、児童生徒にかかわる勤務経験があることを資格要件として募集を行っております。現在、配置されております特別支援教育支援員の多くは、退職教員など教員免許状を有する者であり、教員経験の中で得た児童生徒へのかかわり方を生かして、個々の児童生徒に適した支援を行っているところでございます。 今後も引き続き、ハローワークによる公募に加え、退職予定の教員等への募集案内を行うなど、特別支援教育に理解のある人材の確保に努めてまいりたいと存じます。 次に、特別支援学級の編制基準の見直し、及び加配教員増員の要望に対する県の回答についてであります。 県教育委員会からは、公立小中学校における特別支援教育の本県の学級編制の標準と教員の配置については、公立義務教育諸学校の学級編制及び教職員定数の標準に関する法律の定めにのっとって行っており、特別支援学級の編制基準の引き下げについては、全国都道府県教育長協議会・全国都道府県教育委員協議会を通じて、本年7月に国に要望しているとの回答を得ております。さらに、県教育委員会としては、国へ要望する一方で、特別支援教育の対象児童生徒が多かったり、障害の種別が多岐に及んだりしている小中学校に、特別支援教育充実のための教員を措置しているとの回答も得ております。 教育委員会といたしましては、引き続き、県に教員増員を要望するとともに、本市としても、今後も全国都市教育長協議会を通して、国に要望してまいりたいと存じます。 次に、合理的配慮と基礎的環境整備についての考え方であります。 合理的配慮は、障害者の権利に関する条約において、「障害者が他の者との平等を基礎として、すべての人権及び基本的自由を享有し、又は行使することを確保するための必要かつ適当な変更及び調整であって、特定の場合において必要とされるものであり、かつ、均衡を失した又は過度の負担を課さないもの」と定義されており、その理念に沿って、障害を理由とする差別の解消の推進に関する法律が制定されているものと存じます。 また、学校教育につきましては、平成24年7月に、文部科学省から出された共生社会の形成に向けたインクルーシブ教育システム構築のための特別支援教育の推進において、障害のある子供が他の子供と平等に教育を受ける権利を享有・行使することを確保するために、学校の設置者及び学校が、必要かつ適当な変更・調整を行うことであるとされております。さらに、障害のある子供に対し、その状況に応じて、学校教育を受ける場合に個別に必要とされるものであり、学校の設置者及び学校に対して、体制面・財政面において均衡を失した、または過度の負担を課さないものと定義されております。また、基礎的環境整備につきましても、同報告書に法令に基づき、または財政措置により、教育環境の整備を行うことを合理的配慮の基礎となる、基礎的環境整備と位置づけているところでございます。 本市におきましても、これらの法令等に沿って対応要領を策定しているところであり、考え方は軌を一にするものでございます。
次に、本市が目指しているインクルーシブ教育とは、どのようなことを指すのかについてであります。 インクルーシブ教育とは、人間の多様性を尊重し、障害の有無にかかわらず、ともに学ぶ仕組みであると存じております。この理念を尊重しつつ、文部科学省は、多様な子供の教育的ニーズに応えていくために、通常の学級、通級による指導、特別支援学級、特別支援学校といった多様な学びの場を提供するインクルーシブ教育システムの構築を推進しております。 本市においても、個別に手厚い支援が受けられるよう、各学校に特別支援教育支援員や特別支援教育サポーター・ハートアドバイザーを配置するとともに、通級指導に係るサテライト教室の設置や、短期で個別指導を行うアシスト教室の設置など、多様な学びの場の充実にも努めているところでございます。 教育委員会といたしましては、今後も多様な学びの場の充実を図るとともに、保護者の意向に十分耳を傾け、その上で学校としてできること、できないことを丁寧に説明し、合意形成に努めるよう、各学校を指導し、障害の有無にかかわらず、全ての子供たちがともに学ぶ、共生社会の形成に向けたインクルーシブ教育システムの構築のために、特別支援教育を推進してまいりたいと存じます。
次に、教員の未配置状況と、対応策についてであります。 教職員の配置につきましては、公立義務教育諸学校の学級編制及び教職員定数の標準に関する法律により、学級数に応じて県教育委員会が行っているところでございます。 本市におきまして、学級担任などにつきましては、全て配置されているところではありますが、病気休暇や産前・産後休暇等を取得する教員の代替講師が不足ぎみとなり、結果として少人数指導等の加配教員が配置されていない小中学校が、5月1日現在で13校あるところでございます。未配置校につきましては、非常勤講師を充てるなどの対応策を県教育委員会が行っているところであり、教育委員会といたしましては、今後も学校の実態に応じた柔軟な教員の配置を、県教育委員会に要望してまいりたいと存じます。
【健康福祉局長】
高松圏域自立支援協議会こども部会において、実態調査を行う考えについてでございますが、本市におきましては、三木町・直島町を含めた高松圏域自立支援協議会を平成18年10月に設置し、協議会内に、こども部会や身体障害者支援部会等、地域課題の分野ごとに取り組む11の専門部会を設け、地域のサービス基盤の整備を進めているところでございます。 御質問にございますように、身体障害者支援部会におきまして、30年度に活動を始めるに当たり、身体障害に関する地域課題抽出・整理を目的に、障害福祉サービス事業所を通じて、約400人の身体障害者を対象に実態調査を実施したものでございます。今回の実態調査により、身体障害者一人一人のニーズが把握でき、課題等の検証を行うことで、支援の方向性を見出すことにつながったとお伺いしておりまして、同様に実態調査をこども部会においても実施し、今後の政策や体制に生かすことは、有効な施策と存じますことから、今後、部会に対して、調査の実施を働きかけてまいりたいと存じます。 項目1の答弁は、以上でございます。
【太田】
(1)について再質問を行います。 今の教育長の御答弁ですけれど、非常に、保護者の方に責任を押しつけているように聞こえます。専門性を有する人が決まっていなかったということなんですけれど、質問の中にも入れたんですが、主治医の先生が誤嚥の心配はなく、専門性は要らないとおっしゃっておられます。学校の対応は、適切でないどころか、お姉さんに対しても、その当事者である妹さんに対しても、子どもの権利条約に反するものだと考えることができると思います。 今の答弁で、中学生が学校を抜けて介助を行うことは、適切ではないけれど、主治医が誤嚥の心配はないとしても、支援員が食事介助を行わなかったことは、適切であるというのが市教委の考えでいいと捉えてもいいんでしょうか。 再度、障害のある兄弟児の食事介助についての市の見解を伺います。
【教育長】
37番太田議員の再質問にお答え申し上げます。 インクルーシブ教育のうち、中学生が小学校に赴いて、障害のある兄弟児の食事介助を行うことは適切なのかについてであります。 御指摘の、事案につきましては、対象児童の食事介助について、学校と保護者が協議を重ねる中、学校が保護者の就業に影響が出ないように給食時間の変更を提案しましたが、合意形成に至らず、また、この時点では、主治医の意見を聞いていなかったこともあり、保護者からの申し出を受けて、やむを得ず了承したものであると認識いたしております。 教育委員会といたしましては、兄弟児とはいえ、中学生が学校を離れ、介助に赴くことは、適切とは考えておりませんが、保護者からの申し出があったこと、この時点で新たな食事介助の専門性を有する人が決まっていなかったこと、また、小中学校双方で当該生徒の授業や安全面への配慮について十分協議が行われていたことから、対象児童が食事をとることができないという状況を避けるために、あくまで緊急かつ臨時的な措置として承認したところでございます。
【太田】
次に、項目2です。この項目は、プライバシーにかかわることを含みますが、御本人及び保護者の同意を得て、今後、障害を持つ全ての方が安心して、高松市で障害福祉サービスを利用できるように、最大限の配慮をし、質問を行います。
先日、情報公開請求で障害者総合支援法に基づく、指定障害福祉サービス事業者等から提出された事故報告書に係る一覧表を開示しました。2017年度は92件、2018年度は128件の事故報告書が高松市に対して提出されています。
しかし、この中に含まれていない案件がありました。2018年秋に起こった事件です。ショートステイを利用中、知的障害及び発達障害のある未成年の少女が、当時勤務していた施設職員からの性的虐待を受け、当該元職員は、その後逮捕され有罪判決が出ています。
高松市が2012年に制定している障害福祉サービス事業所等における事故の報告についてによれば、1、サービスの提供による利用者のけが、または死亡事故の発生、2、職員・従業者の法令違反・不祥事等の発生、3、その他報告が必要と認められる事故の発生、身体拘束や虐待が事故の原因と思われるもの、設置運営基準違反のおそれがあると思われるものの、いずれかに該当する場合、障害福祉サービス事業所等は、市に対して速やかに報告を行うことになっています。今回の件は、明らかに性的虐待による事件であり、事故報告の義務3に該当すると考えますが、なぜ、この性的虐待事案が事故報告として高松市に提出されていないのか、その理由を伺います。
今回の件が事故報告として提出されていないことを考えれば、ほかにも見過ごされた性的虐待や性暴力、または、身体拘束などがあったのではないでしょうか。健常者はもちろん、無抵抗な状態の障害者に対する虐待・暴力は、絶対に許されるものではありません。 高松市が把握している、高松市における障害者に対する直近3年間の虐待のうち、通告・相談があった件数と、虐待と認定できた数、認定された虐待種別の内訳をお答えください。 このような障害者に対する性的虐待は、全国的に問題になっています。内閣府が2017から18年に、全国の相談・支援団体を対象に行った調査では、障害の有無について回答があった30歳未満の性被害事例127件のうち、障害があると見られる事例は70件あり55%を占めました。その内訳は、発達障害16件、精神障害19件、軽度知的障害9件などとなっています。障害の種別によっては、やめてほしいという意思を伝えることができない方や、性被害に遭ったことを周りの人に伝えることができない方もいます。
このように、一人の人間の尊厳を脅かすような行為があっても、施設・組織ぐるみで行った犯罪ではないとして指定取り消しにはならず、ほかの利用者も詳細を知らずに、その施設を利用し続けているという現実もあります。障害者総合支援法によれば、指定事業者等は、障害者の人格を尊重するとともに、この法律、または、この法律に基づく命令を遵守し、障害者等のため、忠実にその職務を遂行しなければならないという条文に反したとき、指定権限のある県や市は、施設の指定取り消しができるものとされています。障害福祉サービス事業所は、障害者本人にとっても、その御家族にとっても、なくてはならない大切な場所です。だからこそ、市には指導監査という強い権限があり、事業者や施設に間違いや過ちがあれば即、厳しい対応が必要です。
先ほどの障害者総合支援法に戻りますが、施設・福祉サービスを利用中の障害者に対する性的虐待は、障害者の人格尊重とは真反対にある行為であり、指定取り消しにも値するものと考えますが、市の見解をお聞かせください。 障害者虐待防止法が2012年に施行され、本市においても、高松市障がい者虐待防止センターが設置されました。香川県内の市町においては、県が障害福祉サービス事業者を指定し、指導監査や調査、被害者のケアを行うことになっていますが、高松市においては、その権限の全てが移譲されています。事件発生後、施設側が市に案件について報告・相談していますが、その情報が高松市のどこまで共有され、精査され、被害少女に寄り添ってきたのかという点には大きな疑問が残ります。事件発生から17日後、初めて市が被害少女の御自宅を訪問、お子さんの障害の程度について確認を行い、今週中に施設に調査に入りますと告げましたが、保護者への調査報告は今もないままです。何のために設置された障がい者虐待防止センターなのでしょうか。必要があれば、市が警察に調査依頼をすることも可能だったはずです。
今回の案件について、高松市障がい者虐待防止センターが、どのような役割を果たしたのか、伺います。 元職員は、相手が健常者であれば同じことはしていないはず。少女に知的障害があり、うまくコミュニケーションがとれないことを知り、状況が理解できないだろうと思い、やったという旨の供述をしています。繰り返しになりますが、市には、事業者に対する指導監査の権限があります。事件発覚後、高松市はどのように事業者や施設を指導監査してきたのか、お示しください。
また、今後、障害児・者に対する虐待が起こらないようにするために、高松市として、どのようなことに取り組んでいくのか、考えをお聞かせください。 最後に、加害者である元職員は、反省の弁を述べています。私は、従来、DV加害者にも更生プログラムなどの支援が必要であると訴えてきたように、性犯罪の加害者に対しても同様の思いがあります。犯してしまった罪は、決して消し去ることはできませんが、彼が社会の中で行き場を失ってしまうことも、決してあってはならないとも考えます。 以上、障害を持つ全ての人が安心して福祉サービスを受けられるよう、市の考え・姿勢を問います。
【健康福祉局長】
本市が指定する障害福祉施設で起きた虐待案件のうち、性的虐待案件が事故報告として提出されていない理由についてでございますが、事故報告につきましては、報告を行う範囲や方法を定めた、障害福祉サービス事業所等における事故の報告の基準に基づいた対応を行っております。
障がい福祉課に設置しております高松市障がい者虐待防止センターが、事業所等からの虐待の通報を受理した場合、当センターと本市の指導監査担当の職員が、速やかに現地立入調査を実施した後、事業所等に対し、今後の対応等を指導することとしております。その後、事業所等の改善状況等を調査し、対応が継続中、または不十分であると判断したものについては、事後報告書を受理せず、対応済みとなった時点で速やかに先ほどの事故報告の基準に基づき、報告を求めているところでございまして、当該案件につきましては、対応が継続中であるため、事故報告が提出されていないものでございます。
次に、障害者に対する直近3年間の虐待のうち、通告・相談があった件数と、虐待と認定できた数、また、認定された虐待種別の内訳についてでございますが、本市の障害者虐待相談受け付け件数は、平成28年度が35件、29年度が52件、30年度が62件でございます。そのうち、虐待認定件数とその内訳でございますが、虐待を認定する際に、一つの事案を複数の種別で認定する場合がございますことから、認定件数と内訳の合計が一致いたしませんが、28年度におきましては、認定が3件、内訳は身体的虐待が2件、性的虐待が1件、29年度におきましては、認定が3件、内訳は身体的虐待が2件、心理的虐待・ネグレクト・経済的虐待がそれぞれ1件、30年度におきましては、認定が5件、内訳は身体的虐待と心理的虐待がそれぞれ3件、性的虐待が2件、ネグレクトと経済的虐待がそれぞれ1件でございます。
【市長】
施設・福祉サービスを利用中の障害者に対する性的虐待は、障害者の人格尊重とは真反対にある行為であり、指定取り消しにも値するものと考えるが、市の見解についてであります。 障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律等に基づきまして、指定障害福祉サービス事業者に対して、職員による実地指導や現地立入調査等の虐待調査の適切な実施により、虐待が認められた場合には、必要な改善を図るよう指導を行うこととされております。その後、本市の指導に従わないような事例が発生した際には、法に照らし合わせた上で、権限を適切に行使をし、指定障害福祉サービス事業者の指定の取り消し等も含めた処分を行い、障害者の保護を図ることといたしているものでございます。
【健康福祉局長】
高松市障がい者虐待防止センターが、どのような役割を果たしたのかについてでございますが、高松市障がい者虐待防止センターが、障害者福祉施設従事者等から、虐待に係る通報等を受理した後、障害者虐待の防止、障害者の養護者に対する支援等に関する法律に基づき、速やかに職員による現地立入調査や虐待被害者の保護、また、事業所等からの再発防止等の報告を聴取するなど、法の規定による権限を適切に行使し、虐待防止の役割を果たしてきたところでございます。また、県障害者権利擁護センターと連携しながら、被害者とその保護者の相談対応を行い、事件発生から約1年の間に二十数回の面談や電話相談を行っているところでございます。 次に、事件発覚後、どのように事業者や施設を指導監査してきたのかについてでございますが、虐待事件が発覚した場合には、指導監査担当職員が、高松市障がい者虐待防止センター職員とともに事業所等に出向き、障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律等に基づく実地指導や現地立入調査を実施し、再発防止のための改善を求めるなど、法の規定による権限を適切に行使し、指導監査しているものでございます。
今回の案件につきましては、事件発生から約1年の間に、事業所に対し十数回にわたり職員のヒアリングや虐待の再発防止への取り組みに関する相談に応じるなど、きめ細やかな対応に努めてきたところでございます。
【市長】
今後、障害児・者に対する虐待が起こらないようにするために、どのようなことに取り組んでいくのかについてであります。 障害者に対する虐待は、障害者の尊厳を著しく害するものであり、障害者の自立及び社会参加にとりまして、虐待を防止することは極めて重要であるものと存じます。
このようなことから、本市におきましては、高松市障害者虐待対応協力者会議を設置をし、警察等の関係機関との情報共有を行い、相談支援体制を構築する中で、障害者虐待の防止に取り組むとともに、障害福祉サービス事業所等に対しましては、全事業所を対象とした集団指導や個々の事業所の実地指導等を実施してまいったところでございます。
今後におきましては、昨今、本市におきましても、深刻な障害者虐待の事案が増加しているという現実を重く受けとめ、関係機関との連携をより一層密にし、迅速な初期対応等が図れる体制を構築するとともに、障害福祉サービス事業所等に対する監査の、さらなる強化を講じるなどして、障害のある全ての人が、安心して障害福祉サービスを受けられるよう、努めてまいりたいと存じます。 項目2の答弁は、以上でございます。
【太田】
まず、今の答弁の中に、市として一言も謝罪の言葉がなかったことは、大変遺憾に思います。
(3)と(4)について再質問を行います。
まず、(3)です。 質問の中でも触れたのですが、障害者総合支援法によれば、障害者の人格を尊重するとともに、この法律を遵守し、障害者のため忠実にその職務を遂行しなければならないという条文に反したときに、市は施設の指定取り消しができるものとされています。指定取り消しに今なっていない、ならないということは、この条文に照らせば、当該事業所は、障害者の人権を尊重し、忠実に職務を遂行してきたということになりますが、市の認識は本当にそれでいいのか。再度、指定取り消しについての見解を伺います。
それから、(4)です。 高松市障がい者虐待防止センターが、どのような役割を果たしたかということで、被害者の保護、県と連携しながら支援を行ってきたということでしたけれど、なぜ初動の調査において、被害者ではなく、施設や事業者の主張を信じたのですか。そして、事件性がありながらも、なぜ警察に調査依頼をしなかったのか。それから、事件から、もうすぐ1年たつけれど、いまだに保護者に対して調査報告がないのはなぜなのか、なぜ裁判の傍聴に行かなかったんですか、県の職員さんは行かれています。そして、何より被害に遭った少女・保護者の方に、どういうふうに寄り添ってきて支援をしてきたのか。 これらの点を踏まえて、再度、高松市障がい者虐待防止センターが果たした役割についてお答えください。 以上です。
【市長】
37番太田議員の再質問にお答え申し上げます。
本市が指定する障害福祉施設で起きた虐待案件のうち、施設・福祉サービスを利用中の障害者に対する性的虐待は、障害者の人格尊重とは真反対にある行為であり、指定取り消しにも値するものと考えるが、市の見解についてであります。
今回の案件につきまして、被害者の方々に対して、対応が不十分でありましたことについては、おわび申し上げたいと存じます。 今回の案件につきまして、直ちに指定取り消しとするものではございませんけれど、障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律等の趣旨に基づき、指定障害福祉サービス事業者に対して、職員による実地指導や現地立入調査等の虐待調査の適切な実施により、必要な改善を図るよう、指導を行っているものでございます。
今後、本市の指導に従わないような不適切な事例が発生した際には、法の趣旨に照らし合わせた上で、権限を適切に行使をし、指定障害福祉サービス事業者の指定の取り消し等も含めた、処分を行ってまいりたいと存じます。
【健康福祉局長】
37番太田議員の再質問にお答え申し上げます。
本市が指定する障害福祉施設で起きた虐待案件のうち、高松市障がい者虐待防止センターが、どのような役割を果たしたのかについてでございますが、高松市障がい者虐待防止センターが、障害者福祉施設従事者等から虐待に係る通報等を受理した後、障害者虐待の防止、障害者の養護者に対する支援等に関する法律に基づき、速やかに職員による現地立入調査や虐待被害者の保護、また、事業所等からの再発防止等の報告を聴取するなど、法の規定による権限を適切に行使し、虐待防止の役割を果たしてきたところでございます。 今回の案件につきましても、県障害者権利擁護センターと連携しながら、被害者とその保護者の相談対応を行い、事件発生から約1年の間に二十数回の面談や電話相談を行っていたところでございまして、現在も適切な相談支援を行っているところでございます。御理解を賜りたいと存じます。