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議事録

2019年6月定例会 討論

市民派改革ネットを代表して、今定例会に提出されている議案に対する討論を行います。

議案第119号令和元年度高松市一般会計補正予算(第1号)中、高松城跡整備事業費110万円及び債務負担行為3億5,334万2,000円、文化芸術ホール管理運営費167万4,000円、低所得者・子育て世帯向けプレミアム付商品券事業費5億7,528万6,000円、給食センター管理運営費、債務負担行為8億1,312万円、議案第123号高松市スポーツ施設条例の一部改正について、議案第125号高松市消防手数料条例の一部改正について、以上、反対討論を、議員提出議案第7号児童虐待防止対策のさらなる強化を求める意見書、議員提出議案第8号選択的夫婦別姓制度についての国会審議を求める意見書、議員提出議案第9号加齢性難聴者の補聴器購入に対する公的補助制度の創設を求める意見書、議員提出議案第10号太陽光発電施設に係る早期の法整備を求める意見書について賛成討論を行います。

まず、議案第119号中、高松城跡整備事業費110万円及び債務負担行為3億5,334万2,000円についてです。

これは、桜御門修復事業に係る予算ですが、一番最初に議案として提出されたのは、1年9カ月前になります。その後、たび重なる落札業者の不祥事などにより、議案の撤回や継続審議となり、ことし3月定例会では、議案が否決されました。そこで今回、改めての議案提出となったものです。

私たちは、これまで再三、そもそも、この事業の必要性がないこと、高松空襲戦跡として、ありのままの姿を残していくべきと訴えてきました。さらに、工期が延期を重ねたことにより、当初の予算より3,300万円も事業費が膨れ上がっていることが、経済環境常任委員会の審査で明らかになりました。消費税増税に伴うものだけではなく、オリンピックが近づくことによる資材の高騰、労務単価の上昇などが要因です。やはり、ここまでして、この事業を進める合理性が見出せず、当予算には反対です。

次に、低所得者・子育て世帯向けプレミアム付商品券事業費5億7,528万6,000円についてです。

高松市においては、この事業の対象となる市民は、年収約260万円未満の住民税非課税世帯、約8万5,000人、2016年4月2日から2019年9月30日までに生まれたゼロから3歳半の子供がいる世帯、約1万2,000人となります。

高松市プレミアム付商品券事業業務委託について、提案公募による事業者選定を4月に実施した結果、JTB・凸版印刷共同事業体に決定しました。現在、詳細が詰められていますが、商品券を手にする権利を得た人は、引きかえ券と現金を持って、まず商品券に交換しに行かなければなりません。商品券に交換できるのは、市内の高松信用金庫16店舗、農協6店舗、イオン高松・ゆめタウンとなります。働く世帯にとっては、高松信用金庫で引きかえようとしても15時、本店は16時には閉まってしまい、土日は休みのため、ゆめタウンかイオンに行かざるを得なくなります。結局は、大型店舗にお金が落ちる仕組みになっており、増税の影響を受ける小売店へは、顧客はさらに流れなくなるのではないでしょうか。

また、6月末までに生まれた子供には、9月に引きかえ券が発送されますが、9月末に生まれた子供は11月の発送となり、引きかえの期限である2月末まで約3カ月、使用期限の3月末までは約4カ月しかないことになります。

以前より指摘しているように、低所得者へのプライバシー配慮の観点も大きな問題です。日本経済新聞のデータによると、1世帯当たりの年間消費税負担額は、年収200万円以上、300万円未満の世帯で13.1万円。これが、消費税10%に引き上げられれば、予測で17万円にはね上がります。最大5,000円分を税金で上乗せした商品券を買う権利を与えることで、低所得者への配慮とすること自体、全く配慮になっておらず、消費税増税が、市民に与える影響の大きさに伴った政策でないことは言うまでもありません。よって、当予算には反対です。

次に、給食センター管理運営費、債務負担行為8億1,312万円についてです。

これは、六条町に整備中の新設第二学校給食センター(仮称)における、食材の洗浄、調理業務を民間事業者に委託するための予算措置です。

2017年、大阪府高槻市に本社を置く学校給食等の調理受託会社が破産手続をし、契約していた自治体では急遽、予算を確保して指名競争入札を実施しましたが、入札不調となり、直営の他校から調理員の派遣と臨時職員の雇用で対応。2015年、静岡県浜松市では、学校給食調理を受託した事業者が契約を辞退し、1学期の間、3小学校、1中学校で外注弁当方式での対応となったことがありました。こちらは、調理スタッフが集まらないことが原因でした。

1985年の行政改革路線に始まり、過去30年以上、日本の公共サービスは、徐々に市場化・民営化されてきました。政府は、率先して市場化を進めており、水道事業など社会にとって欠かせないインフラサービスも民営化され始めました。調理業務の市場化は、学校給食そのものの市場化となり得ます。それは、教育の一分野の市場化であり、その先には教員・公立学校運営の市場化も起こり得ます。

保護者への説明は、これから丁寧に行っていくということですが、学校給食を営利事業の対象にしていいのかという疑問は、多くの保護者から湧くのではないでしょうか。そして、私たちは、その答えとして、教育としての学校給食は、営利事業の対象としてはいけないと考えます。アレルギー対応は、命に直結する問題です。行政改革の一翼を子供たちに担わせることには反対です。

次に、文化芸術ホール管理運営費167万4,000円、あわせて議案第123号高松市スポーツ施設条例の一部改正について、議案第125号高松市消防手数料条例の一部改正についてです。

これらは、いずれも消費税増税による使用料の値上げに係るものであることから、一括して討論を行います。

朝日新聞社が実施した5月の全国世論調査では、10月に消費税を10%に引き上げることについて、反対は54%、賛成は39%、内閣支持層では、反対46%、賛成48%とほぼ並んでいます。自民党支持層でも消費税増税に対する賛否は拮抗しています。今、まさに参議院議員選挙の真っただ中ですが、この選挙の結果によっては、増税再延期も考えられます。

前回、消費税が8%へ増税された際の個人消費は8兆円下落。これは、あの大恐慌と並び称されたリーマンショックの個人消費の落ち込みを上回るものでした。景気を回復させ、多くの人々の生活を上向かせるのは、増税でないことは明らかです。また、消費税の負担率は、収入が少ない人ほどふえます。消費税増税はすべきではなく、これに関連した使用料の値上げも行うべきではありません。よって、これらの議案には反対です。

次に、議員提出議案第7号児童虐待防止対策のさらなる強化を求める意見書についてです。

今回、一般質問でも児童虐待について取り上げました。高松市における児童虐待に関する相談は、この1年で約100件ふえています。私たちは、ニュースで流れてくる表面だけを見て、虐待の背景にあるものまで、なかなか目が届いていません。虐待に至るまでに何かができたはずというケースが余りにも多いのが現状です。

そのためにも、切れ目なく親を支援し、虐待防止のための情報共有システムの構築も早急に求められます。児童福祉法第1条「全て児童は、児童の権利に関する条約の精神にのつとり、適切に養育されること、その生活を保障されること、愛され、保護されること、その心身の健やかな成長及び発達並びにその自立が図られることその他の福祉を等しく保障される権利を有する」を実現するためにも、地方から声を上げていかなければなりません。よって、本意見書には賛成です。

議員提出議案第8号選択的夫婦別姓制度についての国会審議を求める意見書についてです。

本意見書が審議された総務常任委員会においては、反対する委員から、個人主義的な社会が生まれてしまうのではないか、家族の一体感が薄れてしまう、子供の成長に影響を及ぼす、国で決まったことには従うが、今すぐに本市として意思表明をする必要はないといった意見が相次ぎました。

しかし、選択的夫婦別姓制度は、全ての夫婦に別姓を強制するものでもなければ、この意見書は、制度の導入を求めるのではなく、国会においての審議を求めるものです。先日の党首討論では、安倍首相は、選択的夫婦別姓制度について、基本的には積極的に議論はしていくべきなんだろうと述べ、審議の必要性を認めています。

世論調査においても、本市の男女共同参画に関する意識調査においても、制度賛成は反対を上回っており、制度導入について、国会においてしっかり議論をすべきと考え、議員提出議案第8号には賛成します。

次に、議員提出議案第9号加齢性難聴者の補聴器購入に対する公的補助制度の創設を求める意見書についてです。

2017年に開かれた国際アルツハイマー病会議で、認知症の約35%は、予防可能な九つの原因により起こると考えられる。その中で、難聴は最大の危険因子であると発表されました。

現行制度の中で、補聴器購入の支給を受けられることが定められた法律に、障害者総合支援法があります。しかし、その対象は、身体障害者として認定を受けて、障害者手帳を交付された方に限られます。聴覚障害者等級が軽度の難聴者は対象にならないことが多く、少し聞こえに問題がある程度では支給を受けることができません。

加齢性難聴は、70歳以上の高齢者の約半数がなるとされており、会話によるコミュニケーションを困難にするなど、日常生活を不便にする大きな原因になること、高齢者の社会参加に当たり、大きな障害となっていることなどから、補聴器は、加齢性難聴の高齢者にとって必要なものと考えられます。しかし、高額な補聴器の購入は、高齢者にとって非常に大きな負担となります。

今年3月の国会において、厚生労働省審議官は、補聴器を用いた聴覚障害の補正による認知機能低下予防の効果を検証するための研究を推進すると答弁。麻生太郎財務相は、厚生労働省から提案がまだないが、やらなければならない必要な問題と述べましたが、まずは、加齢性難聴者の補聴器購入に対する補助について、公的補助制度の創設を、地方からしっかりと求めていかなければならないと考えます。よって、議員提出議案第9号には賛成です。

最後に、議員提出議案第10号太陽光発電施設に係る早期の法整備を求める意見書についてです。

当議案を上程した後の7月2日、政府は、出力4万キロワット以上の大規模太陽光発電所──メガソーラーを新設する際に、環境影響評価──環境アセスメントを義務づける政令を閣議決定しました。来年4月1日からの施行も決まっています。

経済環境常任委員会では、閣議決定がなされた事案なので、意見書を出す必要はないとの意見が出されました。しかし、本意見書を上程した時点では、まだ閣議決定はなされておらず、メガソーラーが設置されるのは、私たち基礎自治体であること、地方でメガソーラーの環境アセスメントが行われないことが、多くの問題を引き起こしてきた事実を考えると、たとえ閣議決定後であっても、地方の声として当意見書を提出すべきと考えます。よって、議員提出議案第10号に賛成します。

以上で私からの討論といたします。


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